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「俺んち、泊まれば?」遠藤航に密着TVディレクターは見た…リバプールで愛されるまでの“壮絶な1カ月”「ファウルしないとかあり得ない」
posted2024/02/24 17:00
text by
小野晋太郎Shintaro Ono
photograph by
PA Images/AFLO
遠藤がレギュラー奪取に奮闘していた昨冬、旧知のテレビディレクターが偶然リバプールを訪ねていた。観戦のつもりが、予期せぬ密着取材が始まって――移籍後の初タイトルがかかるカラバオカップ決勝(日本時間2月25日24時)を前に、日本代表キャプテンがこぼした本音と素顔を、全3回にわたってお届けする。
ロンドンからマンチェスターに向かう特急列車。目の前には、世界有数のビッグクラブで、スタメンを勝ち取る寸前の日本代表キャプテンが座っている。僕は文字通り、遠藤航に密着していた。
遠藤が後に語った「人生最大の勝負を懸けた1カ月」。その直前、何を考えていたのか――。
アリソンがファンダイクにブチギレ
2023年11月25日、世界一と呼ばれるプレミアリーグの首位攻防戦が行われた。1位マンチェスターシティvs2位リバプール。ハーフタイムのロッカールームには熱気が充満していた。遠藤の隣にはいつも、リバプールの主将フィルジル・ファンダイクが座っている。
「何でもっと激しく行かないんだ!」
リバプールは、シティのエースであるアーリング・ハーランドに先制点を許した。ブラジル代表GKアリソン・ベッカーが、オランダ代表DFファンダイクを怒鳴りつけている。とはいえ、実はシティの攻撃はアリソンのミスキックから始まったもの。それでも、裏をとられたのはファンダイクだからか、特に言い返すことはない。
リバプールに来て最初に驚かされたのが、アリソンの高い技術だった。このやりとりを見て、遠藤はアリソンが世界一のゴールキーパーだと改めて確信する。単にミスを指摘したことではなく、失点直後でも、変わらぬ姿勢とハイパフォーマンスを維持し続けていたからだ。
「日本人は、結構ミスしたらベクトルが自分に向くんですよね。『俺のせい』っていうネガティブ感。当たり前だけど、それって試合中は意味がない。ある意味、それを人のせいまで持っていけるのが世界のビッグクラブのゴールを守るってことなのかな。それくらいのメンタルが必要だと思いますね」