- #1
- #2
ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「僕は“助っ人外国人”なんです」ベネズエラで2年連続盗塁王&オールスター初出場、元DeNA乙坂智が感じた“2年目の重圧”<エスコバー、ロペスと再会も>
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byTomo Otosaka
posted2024/02/26 11:02
2022年に続いてベネズエラのブラボスでプレーした乙坂智。オールスターにも初出場を果たしたが、本人にとっては「重圧」のあったシーズンだったという
残り5試合を残してチームを離れる
チームや仲間たちのことを思うがゆえのこと。乙坂はプレーオフにおいて、23打数2安打という成績しか挙げられず、残り5試合を残してリリースされてしまう。厳しい現実を味わってしまう最後だったが、それでも乙坂は顔を上げるのだ。
「しんどかったし残念な結果だったけど、自分を褒めてあげたいなって思うこともあるんです。それはシーズン中、苦しいことがあっても逃げずに立ち向かえたこと。体のどこが痛いの何だのと言わず試合に出て、レギュラーシーズンは結果を残すことができたと思います。上手くいかないことがあっても、次は何とかするぞといった強い思い。実はそこは自分の苦手なところだったので、少しは克服できたような気がするんですよ」
自分を許すことができるのは自分だけ。ヨーク時代も含め苦心することもあったが、立ち向かう勇気を枯らすことなく挑むことができた1年間は、確実に乙坂の財産になった。
今年はメキシカンリーグでプレー
さて今シーズン、乙坂はメキシカンリーグのレオネス・デ・ユカタンに所属してプレーをする。アトランティックリーグ(ATLL)のヨークからも再オファーがあったというが、乙坂はこれを断っている。
「ショーケース的な側面が強いATLLは、自分には合ってないなって思ったんですよ。個が集まって、力を合わせて勝利を目指す野球本来の醍醐味という部分が希薄に感じたんです。僕はやっぱり一人ひとりが役割を全うして勝利を目指す野球がしたい。その方が野球も上手くなると思ったし、そういった理由から馴染みのあるメキシカンリーグのユカタンでプレーすることにしました」
MLBとの距離感
ただ、アメリカでプレーするのとメキシコでプレーするのとでは、物理的にMLBとの距離ができてしまうような気もするのだが。
「とは言っても、メキシカンリーグはMLB傘下と深い関係にありますし、スカウトの人は見ていてくれていると思いますよ。それに今季からメキシカンリーグは外国人枠が増えて、レベルが上がることが想定されていますし、MLBからの注目も以前よりは増すはずです。またユカタンとはMLBからのオファーがあった場合、オプトアウト(契約解除)できる条件なので、いつ声が掛かってもいいような準備とプレーをしたいですね」
可能性があるかぎりは続けなきゃいけない
思えば、乙坂もこの1月で30歳になった。キャリアとしてもピークを越える時期に差し掛かったが、冷静に今の自分の足元を見てどのように感じているのだろうか。