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「藤浪から『メンタル』の言葉が出てくるとは…」藤浪晋太郎に密着7カ月、関西テレビアナ・服部優陽が語る「メジャー1年目の“藤浪進化論”」
text by
堀尾大悟Daigo Horio
photograph byYuhi Hattori
posted2024/02/28 06:03
約7カ月に渡って藤浪晋太郎を密着してきた関西テレビアナウンサーの服部優陽。休職し渡米して見えたこの1年での藤浪の変化とは?
11月13日の報道番組「newsランナー」では、藤浪が帰国後初めてのテレビ出演。服部からの「出てくれへん?」の要請を快諾し共演を果たした。服部が現地で書き綴った日記をもとに、藤浪のメジャー挑戦の日々を紹介する新春特番も1月3日に放送された。
本職の競馬実況はもちろんのこと、翌年1月10日には兵庫・西宮神社での「福男選び」の実況も担当。1月28日の「大阪国際女子マラソン」中継でも一翼を担った。
帰国して数カ月が経ち、アナウンサーとしてのあわただしい日常が戻った。「嘘みたいですよね。今でも思いますよ。本当にアメリカにいたんだっけ? って」と、服部はこの7カ月間の日々を回想しながら笑う。
「でも、間違いなく人生のハイライトにはなるでしょうね。死んで棺桶に入るときに思い出すだろうな、と」
「あの仕事、できなかったな」という思いも。でも…
7カ月間で失ったものは多い。毎日の「辛ラーメン」で生活費を切り詰めながらも貯金は底を尽き、ドル建ての生命保険も解約した。重賞レースを実況するチャンスも、大好きな「ウマ娘」シーズン3と番組でコラボするチャンスも逸した。関西のテレビ局のアナウンサーとしては、阪神タイガースとオリックス・バファローズの日本シリーズにも立ち会いたかったことだろう。
「そうなんですよ。今でもいろいろな思いがよぎるんです。『あの仕事、できなかったな』『あんなチャンスもあったよな』と……」
服部は正直に、複雑な胸の内を打ち明ける。その後に、「でも……」と言葉を続ける。
「この間、藤浪と食事しているときに言われたんです。『でも、いいじゃん。お前、フジ・ガイになったんだから』って。その一言で、なんだか腹落ちできましたね。『それもそうだね』って(笑)」
もうすぐ2024年シーズンが開幕する。藤浪晋太郎は新たにニューヨーク・メッツのユニフォームに袖を通し、メジャー2年目のマウンドに挑む。富士山帽とつぎはぎのユニフォームを脱ぎ、スーツに着替えた「フジ・ガイ」は、遠く日本からその雄姿を追い続ける。
<「野茂からのメッセージ」編とあわせてお読みください>