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藤浪晋太郎のために7カ月休職…29歳の競馬実況アナウンサーはなぜ単身渡米したのか?「死ぬ時に後悔したくない」「最後の最後まで悩みました」
posted2024/02/28 06:02
text by
堀尾大悟Daigo Horio
photograph by
Yuhi Hattori
昨年、先発から中継ぎ降格、移籍、地区優勝と激動のメジャー挑戦1年目を過ごした藤浪晋太郎。その藤浪とともにアメリカへと渡っていたのが、関西テレビのアナウンサー・服部優陽だ。阪神時代、藤浪から秘めたメジャーへの思いを聞いた服部はこう告げられる。「お前も、一緒に行かない?」。(Number Webインタビュー全3回の第2回/初回から読む)
いやいや、簡単に言うなよ……服部は笑いながらはぐらかすが、藤浪の目はどうやら真剣だ。
「でも、おもろくない? この挑戦って!」
無邪気に話す藤浪を見ながら、服部の心はだんだん揺れ動いていく。
「これまではNPBで文句のない成績を挙げていざメジャーへ、というパターンが多かったですよね。でも、そうでない男があえて海を渡り、メジャーの舞台に挑む。自分の立ち位置を藤浪は客観視して、そう表現していて、『確かにおもろそうやな』と思えてきたんです(笑)」
「昨日、球団本部長と話した」
ただ、この時点ではまだメジャー移籍が実現するかどうかはわからない。でも「会社には早めに相談しておこう」と考えた服部は、上司に「もしかしたら、藤浪がアメリカに行くとなったタイミングで、自分も行かせていただくかもしれません」と打ち明けてみた。
「『え? 何言ってるの?』という反応でしたね(笑)。というのも、その当時の藤浪がメジャーに挑戦するなんて、誰も信じていませんでしたから」
何より当の服部自身、「本当にメジャーに行くのか?」とまだ半信半疑だった。そもそも球団がポスティングを認めてくれるかどうかもわからないし、他にもさまざまな条件や障壁があるはずだ……。
そうこうしているうちに月日は過ぎ、2022年の夏。藤浪に呼ばれた服部は、彼からついに決意の言葉を聞く。
「昨日、球団本部長と話した。シーズン終了後にはポスティングの許可が出ると思う」
「いつかは」のメジャー挑戦が、いよいよ「来季」に迫ってきた。
さて、オレはどうする?