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「藤浪から『メンタル』の言葉が出てくるとは…」藤浪晋太郎に密着7カ月、関西テレビアナ・服部優陽が語る「メジャー1年目の“藤浪進化論”」
text by
堀尾大悟Daigo Horio
photograph byYuhi Hattori
posted2024/02/28 06:03
約7カ月に渡って藤浪晋太郎を密着してきた関西テレビアナウンサーの服部優陽。休職し渡米して見えたこの1年での藤浪の変化とは?
アメリカ大陸を横断する“引っ越し”
シーズン中のトレードは、藤浪自身にはもちろんだが、いちファンである服部にとっても青天の霹靂だ。しかも、西海岸のオークランドから東海岸のボルチモアへ、アメリカ大陸をまるまる横断する大移動。服部はしばし途方に暮れた。
「引っ越し……どうしよう」
あわてて現地の賃貸住宅サイトで物件を調べるも、家賃が軒並み高い。そもそも、仕事のないアジア人というだけで契約をことごとく断られた。
「内見して、いざ契約という話になったときに『そもそも、きみは何の仕事をしているの?』と尋ねられて『日本ではブロードキャスターをしています。でも、今は仕事をしていません』と答えると、そこからは話を聞いてもらえません。収入の保証がないから当然ですよね」
仕方なく、ボルチモアでは民泊アプリ「Airbnb」を使ってバックパッカーのように安宿を転々としたり、オリオールズの遠征時には藤浪の家を貸してもらったりした。
「FUJI GUY」爆誕
さて、ア・リーグ東地区で優勝争いをするボルチモア・オリオールズの一員となった藤浪は、好調を維持し、セットアッパーの一人として安定した成績を残し続けた。ボルチモアのファンにも「FUJI」の名前はすっかり定着した。
そして、9月5日のアナハイム・エンゼルス戦。この日に「富士山帽を被った日本人」の様子が地元メディアのカメラに大きく抜かれ、SNSでも拡散されたことで、「藤浪の熱烈な追っかけキャラ」が“爆誕”。連日のようにスタンドで声を張り上げる服部はいつしか、地元ファンの間でこう呼ばれていた。
FUJI GUY(フジ・ガイ)。
その「フジ・ガイ」の声援も後押しし、オリオールズはア・リーグ東地区で優勝。藤浪も欠かせない戦力として大きく貢献し、シャンパン・ファイトの輪に加わった。