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野茂英雄が「藤浪くんに伝えたいことがある」阪神・藤浪晋太郎、メジャーへの意識が変わった日…盟友アナウンサーが明かす「渡米前日譚」
posted2024/02/28 06:01
text by
堀尾大悟Daigo Horio
photograph by
Hideki Sugiyama
今季、ニューヨーク・メッツでメジャー2シーズン目を迎える藤浪晋太郎。メジャー挑戦1年目の昨年はオークランド・アスレチックスに入団した後、ボルチモア・オリオールズへ移籍し、ア・リーグ東地区優勝に貢献した。じつは彼を追って、日本を飛び出した関西テレビのアナウンサーがいる。会社を7カ月休職し、単身渡米した服部優陽に「阪神時代の藤浪とのやりとり」と「決断にいたるまで」を聞いた。(Number Webインタビュー全3回の第1回/第2回、第3回へ続く)
2023年9月5日、カリフォルニア州アナハイムのエンゼル・スタジアムで行われたアナハイム・エンゼルス対ボルチモア・オリオールズの一戦。延長10回裏のマウンドに藤浪晋太郎が上がると、スタジアムから大きな歓声がわき起こる。その中に、ある奇妙な日本人の姿があった。
富士山の形をした帽子に、オークランド・アスレチックスとオリオールズのユニフォームを左右半々につなぎ止めたコスチューム。「Let’s GO! 藤浪」と書かれた大きな日の丸の旗を手に、声をからして声援を送り続けるその日本人を、中継カメラがとらえ、テレビに大きく映し出した。
そのことを知らないマウンド上の藤浪は、落ち着いたマウンドさばきで100マイルの速球を投じ、2者連続三振。2セーブ目を挙げた。彼が三振を奪うたびにスタンドの「富士山帽の日本人」も藤浪以上に喜びを爆発させ、カメラに大きく抜かれた。
観客席に突如現れた謎の藤浪ファン。その様子はよほどインパクトがあったようで、実況アナウンサーも、試合後に触れずにはいられなかった。
「ユウヒ・ハットリ! 彼は世界一のフジナミファンだ!」
「ところで、こいつがめちゃめちゃ映っていたんだけど、お前の兄弟か?」
「あぁ。こいつは日本でブロードキャスターの仕事をしている、ユウヒ・ハットリという男なんだ」(藤浪)