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大谷翔平の“気遣い”に同僚が感銘「こんなに幸せそうな写真はない」…早くもドジャースに溶け込んだ“大谷流コミュニケーション”の本質
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2024/02/21 11:01
キャンプでチームメイトと積極的にコミュニケーションをとる大谷翔平。新天地ドジャースでも自然体のままチームに溶け込んでいる
「何をしているんだ、ショウヘイ!」
背番号17が慌てて引き返す。
フリー打撃中、今度はベテランのミゲル・ロハスから声が飛んだ。26本中半数の13発の柵越えをした大谷の打球が、フェンスを越えなかったときだった。
「打ち上げるな!」
もちろん、ロハスの冗談。これに、大谷はにこやかな笑顔を見せた。
この時、大谷相手に打撃投手を務めたのがディノ・エベルコーチだった。大谷がエンゼルスの新人だった2018年、1年間、コーチと選手として親しい間柄だった人物だ。ロハスの冗談を聞き、こう思ったという。
「ショウヘイはそういうのが好きなんだよ。チームの一員になりたい。そうやってみんなと溶け込みながら、どんどん心地よい感じになっていくんだ」
ロバーツ監督も、大谷の性格をこう語る。
「卵の殻を割るような扱いにくいスターはいるものだが、ショウヘイは全く違うタイプだと思う。みんなと同じように扱われたい。そして、ただただ、彼は勝ちたい、チャンピオンになりたい。だからここに来たんだ」
旧知のコーチが証言「彼にはオーラがある。でも…」
メディアに開放されるクラブハウスには、今のところ主力選手がほとんどいない。大谷を追うメディアの大群を敬遠しているのだろう。奥に引っ込んでいる。
野球界で一番のスター選手の加入は、他の選手たちの環境を変えたが、「大谷翔平」は変わらない。いつ、どこにいても自然体だ。
屈託のない笑顔。そして、気遣い。スターの加入がチームのバランスを崩すこともあり得るが、大谷に限ってはそういうことはないだろう。
大谷の新人時代を知るエベルコーチは「彼にはオーラがある。クラブハウスにいれば、誰もがその存在感を感じる。マイク・トラウトやアルバート・プホルスのようにね。でも、彼は同時に礼儀正しいし、みんなをリスペクトしているんだ」と話す。