酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「オオタニ、アクーニャJr.がMVP。シンプルな話だ」ドジャース大谷翔平も活用…“米国最先端データ”関係者が明かす「一流打者の核心」
posted2024/02/20 17:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo/JIJI PRESS
2年目を迎えたジャパンウィンターリーグは沖縄県で2023年11月23日~12月24日まで開催された。今回は、101人の選手が参加、日本人選手だけでなく世界10カ国の選手が参加。アドバンス・リーグ、トライアウト・リーグの2つのリーグに分かれて1カ月のリーグ戦を戦った。
リーグ戦を経て今年1月21日現在で、独立リーグなどに22人の選手の移籍が決まり、交渉中の選手も10人いる。「選手の未来を拓くリーグ」として、これも大きな成果だった。
「ドライブライン」打撃トレーナーが指導
社会人野球の選手を中心としたアドバンス・リーグの会場となった沖縄県宜野湾市の宜野湾市民球場に隣接する室内練習場では、近年の野球データ革命を象徴するような場面があった。
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打球速度などを計測する「ブラスト」をバットのグリップに装着した選手たちが、バットスイングを繰り返す。選手は重さやバランスの異なるバットを手にしてスイングし、スイングスピードや打球角度など、様々なデータを計測していた。
ドジャースの大谷翔平がキャンプで各種デバイスをつけて、球団関係者とデータを確認している姿が連日テレビなどで報じられているが――ジャパンウィンターリーグでも同じような光景が広がっていたのだ。
彼らにアドバイスをしていたのは米シアトルのトレーニング施設「ドライブラインベースボール」バッティングトレーナーのダニエル・カタランである。彼は2014年に大学を卒業し、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアで野球をしたのち、ドライブラインのトレーナーになった。
バッティングには何が大事か?
その夜、ホテルの会議室ではダニエル・カタランによる「バッティングセミナー」が開かれ、その場に立ち会った。まず選手たちに向けて、ダニエルはこう問いかけた。
「バッティングには何が大事か? 何がいい打者を作るか? どうやったらいい打者になれるか?」
間髪を入れず、大柄な黒人選手が発言した。
「バッターボックスに向かう前に何を打つのか、プランを持つのが大事だ。そうしてアプローチをすることだ」
別の外国人選手が「バッティングはバランスだ。そして全方向に打つのが大事だ」と言えば、日本人選手は「自分の形をしっかり作って打席に入るのが大事」と自分の意見を語る。すると……一番奥の席から、こんな声が飛んだ。