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「シーズンオフは生活費を稼がないといけない」ハズだけど…「夢のためにアルバイトは辞めました」NPB二軍に“新規参入”新潟BCに見るリアル
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byShunsaku Sakai
posted2024/02/20 06:01
今季からNPBの二軍に参入したオイシックス新潟アルビレックスは2月1日に本拠地のハードオフエコスタジアム新潟で始動。午後には小雪が舞った
昨季まで選手数は30人ほど。だが、NPB12球団の二軍は最低でも35人を確保し、今回の参加条件でもあった。辻は「出場機会やコストを考えれば、これまでの1.5倍の選手数は必要だと判断しました」と説明する。2月上旬には日本ハムなどで活躍した陽岱鋼も加入し、メンバーは想定の45人に落ち着いた。
チームの運営予算は昨年の2億円から6億円程度まで上がると試算し、スポンサーの募集や興行収入のあり方も模索する。NPBも球団の負担を減らすため、関東地方への遠征は6連戦など固めて行い、なるべく交通費がかからない日程を組んだ。辻は力をこめる。
「応援いただける企業さんが多く、『頑張れよ、楽しみにしているよ』と言っていただける。1年目から黒字にできるように頑張りたい」
かつてない長丁場を戦う選手には、手厚いサポートも待つ。昨年11月にメーンスポンサーとしてネーミングライツを取得した「オイシックス・ラ・大地」は食品のサブスクリプションサービスを手掛ける。シーズン中は栄養面で支え、自宅で調理が可能なミールキットを提供し、練習や試合の合間に食べられる補食も準備するという。同社広報室は「選手のパフォーマンス向上や身体づくりに、食生活は非常に大切なものと考えております」と説明する。今後は選手寮の開設やスポーツ栄養学に基づく選手への指導も検討する。
「自分たちは失うものがありません」
チームは新しい姿を見せ始めている。キャンプインはジャージで始動したが、2月中旬に入り、新たなユニフォームも披露された。17日からは静岡・志太スタジアムで2次キャンプに入った。
藤原は言う。
「自分たちは失うものがありません。誰よりもやるしかない、生きるか死ぬかの意気込みです」
彼には座右の銘がある。「冬は必ず春となる」。凍てつく大地から、どのように芽吹くだろうか。球界にとっても新たなチャレンジの始まりである。