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「シーズンオフは生活費を稼がないといけない」ハズだけど…「夢のためにアルバイトは辞めました」NPB二軍に“新規参入”新潟BCに見るリアル
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byShunsaku Sakai
posted2024/02/20 06:01
今季からNPBの二軍に参入したオイシックス新潟アルビレックスは2月1日に本拠地のハードオフエコスタジアム新潟で始動。午後には小雪が舞った
藤原はこうして昨年末から地元で調整し、キャンプインを迎えていた。室内練習場でゴロ捕球や打撃をこなしていく。前阪神の髙山俊や前DeNAの田中俊太ら、NPB組の存在は新たな刺激になる。初日を終えると、外は暗くなっていた。
「(NPB組に対して)うわって思った時点で8割方、負けだと思います。同じステージに立っているので『自分も一緒や』と。その気持ちだけは絶対に負けないと、自分の中で決めています。うまいなと認めるのは大事ですが、一歩も引かない。そこを大事にしたい」
初日の練習を腕組みしながらスーツ姿で見守っている人がいた。総合営業兼編成部部長の辻和宏である。選手は投手陣と野手陣に分かれ、室内練習場で動いていた。肌刺す寒さの屋外に出たのは30分間走の時だけ。雪国ならではのハンディキャップだが、今後のチーム運営を考えれば、苦渋の決断だった。
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「少しでも暖かいところで2月1日を迎えるのがベストだし、選手には申し訳ない部分もあります。それでも、実情と球団の体力を考えれば、致し方ない。少しでも経費を抑えたかったのは確かです」
初のNPB参戦で、見えない見通し
昨年11月22日にイースタン参加の方向性が固まり、そこからキャンプ地を選定するのは時間がない。しかも、約1カ月のキャンプとなれば、数千万円の経費も見込まれる。昨季まで独立リーグに所属し、球団運営のノウハウを持つとはいえ、初めてのNPB参戦となり、リスクを回避した形だ。
チームは昨季63試合から倍以上の140試合に増える。遠征で交通費、宿泊費の経費はこれまで以上に増え、何より先を見通しきれない。
辻は大阪体育大を卒業後、巨人の球団職員になった。2012年から新潟球団に転職し、今年が13年目の40歳である。それでも、最初は手探りだったという。
「まずは選手の人数をどうするかでした。NPBの12球団には70~80人くらいいますが、二軍だけで何人いれば、140試合できるのだろうと。そこからでした」