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「みんなクボを気に入ってるんだ」傷心アジア杯から中2日スペイン復帰戦、久保建英は古巣の仲間に挨拶を…カメラマンが見た“気迫と品格”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/02/10 11:04
ラ・レアルことレアル・ソシエダに帰還した久保建英。古巣マジョルカ戦で見せた“気迫と品格”とは
スタジアムへ向かうタクシーでも「久保を見にきたんだろ? 今日は対久保だけど、みんな久保のことを気に入っているんだよ」と運転手が声をかけてくれたほど。
プレーを続けるうちに戻ってきた久保のキレ
前半は、一進一退の潰し合いの展開になり、試合としてはやや見応えにかけるものになったか。右サイドいっぱいにポジションを取る久保には、相手5バックの大外ジャウメ・コスタがタイトにマークについた。
久保は相手を撹乱しようと、ゆらゆらと断続的にポジションを変え続けていた。しかしマジョルカはポジションをやや内側に取ると大型CBのホセ・コペテが激しく、トップ下に入るような際にはMFセルジ・ダルデルが久保を警戒していた。久保のポジション取りに合わせてスムーズにマーカーを変更し、指揮官ハビエル・アギーレ(2015年アジア杯の日本代表指揮官だった)による久保対策が垣間見えた。
またソシエダも守備時には、5バックの相手に対して3トップ右の久保がトップ下に移り、CFのウマル・サディク、左ウイングのアンデル・バレネチェアがツートップに可変してプレス。両監督の守備時における相手に合わせた見応えある応酬が見られていた。
リーグにおいては、6位のソシエダと残留争いに巻き込まれそうなマジョルカとの力の差はあるはずだが、この試合にかけるマジョルカ選手、サポーターの気持ちがその差を埋めたと思わせるほどのスタジアムの雰囲気もあった。
ただ後半には、チームの力量差が徐々に如実になっていった。
移動の疲れや日本代表という別チーム、別の役割の下でプレーしていたためだろうか、やや身体が重そうに見えた久保にもキレが戻ってきていた。
ファールを厭わず久保を止めにくる相手を置き去りにするドリブル、抱え込まれながらも倒れずボールを前に運び出そうとするシーンが増えていった。
また逆サイドまで流れると、左ウイングのバレネチェアとのコンビネーションを見せ、決定機を演出。左サイド深くから送られたクロスは、ゴール前でフリーとなったサディクの元に届いたが決め切ることができなかった。
自らの意思を伝え、相手サポと元同僚に挨拶する際は…
この試合で特に印象的だったのは、ピッチ上で誰よりも相手に面と向かい、また指で指し示して、自身の意思を伝え続けていた久保の姿だった。