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JリーグPRESSBACK NUMBER
「ラーメン屋はJリーガーよりも難しい」プロ19年・盛田剛平(47歳)が家族に内緒で始めた第二の人生「正直、赤字」でも、なぜ笑顔?
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph byYuki Suenaga
posted2024/02/02 11:00
2023年3月にラーメン屋「盛田軒」をオープンした盛田剛平さん(47歳)
コーチの仕事の傍らラーメン店をオープンする――精力的なセカンドライフだが、ラーメン屋に関しては、修業時間が限られ、経営についても本格的な勉強をする余裕はなかった。当然、周囲の反対は相当なものだった。
「家族には本当に一切相談せず、こっそり進めたんです。相談すると猛反対されるのは分かっていたので……。それに、兼業を許してくれたレッズのためにも、キャリアの成功例となりたいとも思っていました。だからこそ、絶対に失敗は許されない、と覚悟を持ってのぞみました」
盛田は物件探しやラーメン店での経験のある従業員を頼るなどし、開業の方法を模索。自身も千葉県にあるラーメン学校「食の道場」に通い、イロハを学んだ。そして、昨年の3月、クラウドファンディングで当初の予定の倍近い558万円を集め、念願だった開店にこぎつけたのだった。
ようやく夢が叶った。しかし、その熱い想いとは裏腹に、経営は芳しくない。
居抜きで入った物件だが、結局自身が考える店作りを行うために2000万円以上をかけて改装し、支出も想定より増えた。開店当初はメディアに取り上げられたことでサポーターやファンが足を運んでくれていたが、次第に客足は遠のいていく。利益度外視で経営を行ったため、毎月のように多額の赤字を垂れ流していた。
現役時代の貯金もそろそろ底をつく。盛田はいきなり岐路に立たされた。
(後編に続く)