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「サッカーの採点は見ないが、食べログは見る」“元Jリーガーのラーメン屋”わずか半年で大幅リニューアルの理由「妻は今も大反対しているが…」
posted2024/02/02 11:01
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph by
L)J.LEAGUE R)Yuki Suenaga
元Jリーガー盛田剛平(47歳)インタビュー後編は、わずか半年でリニューアルを決断した「ラーメン屋」の経営について。難しさを痛感しながらも、胸の内に秘めた大きな野望を語った【全2回の後編/前編から読む】
現役引退後、盛田のもとには指導者としてのオファーがあった。Jリーガーのセカンドキャリアとして恵まれた境遇にあるという自覚はあったが、それでも、将来に対して漠然とした不安は消えなかった。
「ほとんどのサッカー選手がそうかもしれませんが、指導者をずっと続けて老後まで、というイメージがどうしても持てなかったんですよ。そこで考えたのが、手に職をつけることでした」
現役時代から「ラーメン師範」の呼び名でも親しまれた盛田は、口外はせずとも開業する前は自信を胸に秘めていた。アスリートのセカンドキャリアとして例が少ないラーメン屋で“手に職”と考えるのは、ある種、盛田らしさなのだろう。しかし、その目論見はあっさり崩れ落ちることになる。
「どんぶり勘定」を徹底見直し
「ラーメンをたくさん食べてきて、美味しいのはどういうものかはわかっていたつもりだったんです。だから普通にやれば、うまくいくだろうと。やってく間に自分でいろいろ学び、事務作業も習得していけば、と見切り発車の部分はありました。ですが、実際に始めてみると調理、マネジメント、経営と全てが想像を超えて難しいものでした」
元Jリーガーのラーメン屋。開店時は決して客足が鈍いわけではなかったが、次第に課題を露呈した。「今考えれば、どんぶり勘定だった」と振り返る価格設定や仕入原価、人件費などのいわゆるFL(food and labor cost)値の見直しの必要性を痛感する事態となった。