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「自分自身に絶望して…」サッカー日本代表・南野拓実が明かした“人生最悪の日”からの帰還「どれだけ批判されようと、ナンボのもんだと」 

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byEri Kawamura

posted2024/01/31 17:00

「自分自身に絶望して…」サッカー日本代表・南野拓実が明かした“人生最悪の日”からの帰還「どれだけ批判されようと、ナンボのもんだと」<Number Web> photograph by Eri Kawamura

日本代表としてアジアカップを戦っている南野拓実(29歳)。初戦のベトナム戦では2ゴールをあげた

「なんでPKすら決められないんやって、自分自身に絶望して。地獄、という表現は安易ですけど、本当に人生最悪の日で。とにかく何も考えられなくて、シャワーを浴びるにも足が動かなかった。あのときは、サッカーが嫌になっていました。一度、サッカーから離れたいなって」

 翌朝、日本代表の練習場で大会最後のメディア対応が行われた。前日のスタジアムと比べれば、記者も随分ゆったりと立つことができる。ドーハの明るい日差しが差し込むプレスルームには、“祭りのあと”の穏やかな空気が流れていた。

 ここで南野は、クロアチア戦後初めてメディアに対して口を開いた。前日の憔悴しきった顔を見ていたから、取材の最後に語った言葉がちょっと意外だった。

「個人的には4年後のW杯で絶対にリベンジしたいですし、絶対にレベルアップして、この場に帰ってきたいです」

責任の伴わない批判など、なんぼのもん

 W杯から1年が経って、本人に聞いてみた。あのとき、たった1日で、4年後に向けて気持ちを切り替えられたんですか?

「あれは本心、ではないですね。正直、迷っていて。今の自分が4年後、本当に代表として戦えるんだろうか、『4年後を目指す』なんて言える立場なんだろうかって。その一方で、このままで終わりたくない、自分自身を否定したくないという気持ちも強かった。もう一度、本気でW杯を目指す自分に戻るんだって奮い立たせていました」

 10番を背負い、攻撃の中心として活躍を期待されながら、W杯4試合で計57分間の出場に留まった。PKも決められなかった。当然、そのパフォーマンスに対して国内では批判的な声も上がった。

 普段、南野は自身に関するネットニュースを全く見ない。「人生最悪の日」を経験し、批判に晒されていることは容易に想像できたが、信念が揺らぐことはなかった。

「世間から何を言われようと、どれだけ批判されようと、なんぼのもんだと。そこは全然気にしません。サッカー選手を批判するのは自由ですけど、その意見には責任が伴っていない。責任を負わずに批判する人たちより、何倍も深く考えてプレーしている自負はありますから」

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