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「僕は日本でナンバーワンにならないと」久保建英22歳の決意「もっと自分を突き詰めていきたい」偉大なレジェンド2人の貴重なアドバイス
posted2024/01/30 17:00
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Getty Images
発売中のNumber1089・1090号掲載の[エースへの決意]久保建英「世界に爪痕を残すため」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文はNumberPREMIERにてお読みいただけます】
カタールW杯の誓い「ナンバーワンにならないと」
1年前の冬、カタールワールドカップが終わりサン・セバスティアンでの日常に戻った久保建英に聞いた言葉が印象に残っている。
ビスカヤ湾を望む田舎町のスタジオで、久保は心を決めたかのように話した。
「次のワールドカップがある4年後までに、僕は日本代表でナンバーワンの選手にならないと。チームがどういう戦い方をするにしろ、そうじゃないと最後までピッチに立つということはかなわない。これからの4年間は、そっちにフォーカスしていきたい」
それは久保がワールドカップのトロフィーを掲げるリオネル・メッシの姿をテレビ越しに見た数日後のことだった。
はじめてのワールドカップは不本意な形で終わっていた。カタールで過ごした日々は葛藤と戦った時間でもある。出場は2試合、わずか90分。試合に出るために本来得意とはいえない役割を受け入れ、左サイドを駆け回った。
何もできなかった、というドイツ戦の記憶がある。スペイン戦は手応えこそあったものの前半で交代となり、「今日の出来で代えられたら悔しい」とこぼした。しかし当時の日本代表にとって、おそらくはそれが世界で勝ちあがるための唯一の方法であり、グループステージ突破への最短距離だった。
それから1年が経ち、久保と日本代表はあのときとは異なる立ち位置にいる。
久保は名実ともにラ・リーガを代表する選手のひとりとなった。多くの日本人選手が欧州の舞台で躍動し、ワールドカップ後も勝ち続ける日本代表は世界でも一目置かれる存在だ。そしていま、彼らは再びカタールの地でアジアの頂点を目指す戦いに挑もうとしている。
目標は二桁得点
代表で一番の選手になる。
そう決意した後の久保は、たしかな結果を数字で残してきた。
レアル・ソシエダをチャンピオンズリーグ出場に導く活躍で'22-'23シーズンを終えると、今季はリーガの主役のひとりに躍り出るパフォーマンスを見せている。前半戦の総括では久保をベストイレブンに選出するメディアも多い。リーガの右アタッカーの一番手で、ジュード・ベリンガムやアントワーヌ・グリーズマンら錚々たる顔ぶれの中に、ごく自然に久保の文字を目にする。スペインの日常の中でその名を耳にする機会は、明らかに増えた。
久保はアジアカップ参加で離脱するまでの5カ月間で、レアル・ソシエダで6得点4アシストの数字を残している。
10年ぶりのCL出場権獲得を果たした昨季のレアル・ソシエダはシーズン折り返し時点では勝ち点39を獲得していた。今季は32と劣ってはいるものの、依然としてCLやヨーロッパリーグ出場権を狙うグループにいる。久保の存在は、レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーに次ぐリーガの第2グループに属するようになったチームの躍進の一因となっている。
久保はひとつの明確な目標を持ってシーズンに挑んだ。開幕戦で後にスペインに旋風を巻き起こすこととなるジローナ相手に今季初得点を決めた後、彼は具体的な目標を設定している。
「今シーズンは二桁得点をとりたい。昨シーズンは9点で終わったので」