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「結婚するの? しないの?」“5年生存率50%”以下の難病から復帰したプロスノーボーダーが恋人から突きつけられた条件「離婚届か、履歴書か…」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/01/26 11:02
難病を克服し、社会貢献活動に邁進する荒井daze善正氏
「病気を乗り越えて復帰したら、幸せの基準がリセットされていました。自分が滑り続ける理由も見つかった。お金やスポンサー契約のためじゃない。自分が滑り続けることで、移植を受けてもここまで元気になれるというのを発信したいと思いました。それは職業というより人生、ライフですよね」
術後はもう昔ほどうまくは滑れなくなった。足首から先は麻痺していて、スリッパを履きながら歩くのも難しいぐらいだったから仕方がない。自分と向き合い続けた闘病生活を経て、そんな状態を受け入れることもできるようになった。
「27歳の現役バリバリの頃に戻ろうというイメージでやっていたら、現実とすれ違いまくって自己肯定感が下がっていったと思うんです。でも、そうじゃない。一分一秒が貴重な時間で、今の自分ができることって何だろうというスタンスでやれば、周りのライバルと自分を比べることもなくなる。失ったものは多かったけど、そこから得たものも絶対にあるので」
病室で立てた誓いを叶えるために、手術から3年が経った2011年に骨髄ドナー登録や献血への協力者を増やすことを目的としたプロジェクト『SNOWBANK PAY IT FORWARD』を立ち上げ、2015年には一般社団法人を設立し、さまざまなイベントを企画・運営するようになった。10年以上続けている『東京雪祭』では、東京・代々木公園を会場にスノーボードコンテストなどを行い、ドナー登録や献血の問題に触れる機会のない層に対しての啓発活動を展開。会場では毎年多くの人が新規にドナー登録し、献血に協力する姿が見られる。
恋人からは「結婚すんの? しないの?」
恋人とはどうなったのか。