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「サボるなら明日にしよう…その繰り返し」渡邊雄太(29歳)NBAサンズで出場機会が減っている今、何を考えている?「自信は失っていない」
posted2024/01/19 11:05
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
AP/AFLO
息を切らせて汗だくで練習を終え、コートサイドの椅子に腰かけた渡邊雄太から、思わず本音がこぼれた。
「試合に出ているときより、出ていないときのほうがしんどいんですよね」
1月10日、試合のためにロサンゼルスに滞在中だったフェニックス・サンズは、UCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)の体育館でチーム練習を行っていた。
まず朝10時半にホテルの会議室に集合して映像をみながらミーティングを行ったあと、バスに乗ってUCLAに移動して練習。試合に出ている主力選手たちは午後1時過ぎにホテルへ帰っていったが、渡邊らローテーションから外れている選手たちはコートに残り、アシスタントコーチたちも交ざって30分ほどピックアップゲーム(試合形式の練習)を続けた。
さらにその後、オールコートでダッシュしては3ポイントショット(3P)を打つという激しいドリルを約15分。すべてが終わったのは午後2時過ぎだった。試合に出ていない選手は、コンディショニングを保ち、試合感覚を磨いておくためにそういった追加練習が必要になる。
「試合に出ていないと、試合や練習の時間にプラスアルファでずっとこういうことをやってるんで。(試合に出られないフラストレーションで)精神的にダメージになるというのもありますけど、単純にコートにいる時間だったり、いろいろ練習しなきゃいけない時間は長くなるんで、試合やってるよりきついっすね」
「今日やって、サボるなら明日にしよう」
「しんどい」「きつい」と言いながらも、もちろんサボることはない。苦境に直面したときにどう対応するかで、その人の本質が見えてくるものだが、渡邊の場合は諦めない姿勢、努力し続ける姿勢がそのひとつだ。
「結局、しんどいときでも止めれない性格というか。正直、こんな性格じゃなくて諦めることに躊躇ない性格だったらどんだけ楽だろうなと思うときはありますけど、結局、いつも『しんどいけど、今日もう1回頑張ろう』って体育館に行って。こうやってしんどいことやった後、これだけ汗かいて、息も上がってますけど、体育館を出るときには『今日もいい練習できたな』って思える。その後、『今日できたんだからまた明日頑張るかな』っていうふうに思ってる。
サボる人って、『今日休んで、明日やればいい』っていう考え方がずっと続くと言いますけれど、僕はその逆。『今日やって、サボるなら明日にしよう』って決めて、やって、明日になったら『今日、もう1回やろう』の繰り返し。こういうときはいつも、いわゆるサボりぐせがある人とは全く逆のアプローチでやるようにしてます。しんどいときでも、そういう考え方だから頑張れます。考え方というか、元々身体に染みついてるのもあるんですけど。いろいろと考えすぎな部分もあったり、不安になることもたくさんありますけど、自分が練習をしっかり頑張ってるっていうところに嘘は一切ない。だから、明日もまた頑張れるのかなっていうのもあります」