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“ケツメイシの息子”から“次世代エース”へ…國學院大のルーキー・吉田蔵之介が初の箱根駅伝で感じたこと「お父さんは憧れの存在。でも…」
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byAFLO
posted2024/01/07 11:00
初の箱根駅伝を9区7位の成績で走り終えた國學院大のルーキー・吉田蔵之介。父であるケツメイシの大蔵さんとのエピソードも話題に
吉田は元々、埼玉の駅伝強豪校である埼玉栄高校の出身だ。高校時代は全国高校駅伝に2度出場し、6区と7区をそれぞれ区間1ケタ順位で好走している。
その最後の都大路でもゴールテープを切る際、NHKの実況が吉田が大蔵さんの息子であることに触れ、ちょっとした話題にもなった。
「もともとはあんまり大っぴらには言っていなかったんです。でも、いつかはバレるだろうなとは思っていて(笑)。それがあの都大路のゴールシーンでした」
その後は駅伝の強豪校である國學院大に進学。すると、1年生ながら着々と力をつけた。本人も述べたように、もともと長い距離への適性もあったのか、秋以降のハーフマラソン戦線では、上尾ハーフで62分29秒の好タイムをマーク。ルーキーらしからぬ安定感を見せた。
國學院大が上位候補校の一角に挙げられていたこともあり、結果的に箱根駅伝に向けては上記のバックボーンも含めて報じられることも増えた。一般的なランナー文脈からは少し外れて話題になることも多かったが、それについて本人はどう受け止めていたのだろうか。
「うーん、どうですかね……僕にとってお父さんは本当に憧れの存在なんです。歌でたくさんの人の心を動かす(大蔵の)姿は本当にカッコいい。誇りに思っているので、そうやって(ケツメイシの息子として)取り上げてもらうことにマイナスな受け止めは全然ないですね」
箱根路で感じた先輩ランナーの「攻める姿勢」
そんな“憧れの存在”である父と同様、今回初めての箱根路で吉田に強い影響を与えたのが、チーム最上級生の走りだったという。
「やっぱり箱根は夢の舞台だったこともあって、1週間前くらいからはずっと緊張していたんです。でも、往路の1区で伊地知(賢造、4年)さんがああいう走りを見せてくれて……」
チーム唯一の4年生だった主将の伊地知は、1区でスティーブン・レマイヤン(駿河台大)と篠原倖太朗(駒大)の飛び出しを、青学大の荒巻朋煕とともに果敢に追走。終盤は振り切られ、結果的に区間17位に終わったものの、復路での出番を待つ後輩の心にはその「攻める姿勢」が強く響いた。