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「ひたすら悔しくて…」フィギュア全日本選手権銀メダルの鍵山優真20歳が明かした“世界一”への欲望「今のままだと世界のトップに立てない」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2023/12/30 17:03
フィギュア日本選手権で2位となった鍵山優真。世界選手権への切符を手にするも「今のままだと世界のトップには立てない」と語った
世界選手権の代表に選ばれると、改めて世界王者の宇野、そして今季GPファイナル王者のイリア・マリニンへと意識を向ける。今季の国際大会での最高点は、宇野が297.34点、マリニンは314.66点、鍵山は288.65点である。
「今のままだと世界のトップに立てない実感もあります」
意気込みを聞かれ、迷わずそう答える。そして新たな戦略として、4回転の本数について語る。今季、フリーでの4回転の本数は、マリニンが5本、宇野が4本なのに対して、鍵山は2本だけ。怪我からの復帰シーズンである鍵山は、ここまでは4回転の数を抑えて、完成度の高さで勝負してきた。
「まだまだ構成を上げられる段階なので4回転を増やすつもりでいます。名古屋に帰ったら、次のジャンプ構成を考えて取り組みたいです。4フリップを入れるか、4回転を1本増やすのか、まだこれから決めますが、伸ばしていけるように頑張ります」
4回転を増やすという選択
さらに、ショートでミスした4回転サルコウについても、分析する。ショートでは、転倒したことで「GOE−4.85点」と、「転倒の−1点」を合わせて「−5.85点」。クリーンに決めたフリーでは「+4.3点」。その差は10点以上ある。
「4回転サルコウを跳べていれば、自己ベストに近づけたということも分かりました。他の部分はしっかりできた証拠だと思います」
サルコウのミスがなかったと仮定すれば、300点台は十分に圏内。さらに4回転を1本増やすことで、マリニンの点数も見えてくる。
「世界選手権は、今回よりも熱い演技をしたいと思います。4回転を増やすと振付けも変わってくるので、(コストナーコーチと)皆でブラッシュアップして良いプログラムにして行きます。ジャンプ構成もクオリティも上げて、トップを目指したいと思います」
いつも「自分が出来ることをするだけ」と答えてきたタイプの鍵山が、今季ははっきりと“世界一”を宣言する。ライバルの刺激と、コーチの支え、そして、自身が感じる手応え。すべてが噛み合った20歳のシーズン、覚醒への予感を誰よりも感じているのは、鍵山本人だ。