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本田真凜22歳「笑顔の引退会見」までにあった誹謗中傷、浅田真央の言葉…「(試合に)もう出たくない」葛藤を乗り越えた20年のスケート生活
posted2024/01/14 17:02
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
アナウンスで会見の開始が告げられると、無数のフラッシュの中、白のスーツに身をまとって姿を現した。終始変わらない穏やかな笑顔に、すべてが集約されていた。
1月11日、本田真凜は引退発表会見に臨んだ。2歳でスケートを始めて21年目。人生の大半をかけて向き合ってきた競技に、1つの区切りをつける瞬間でもあった。
「葛藤に向き合って、乗り越えてこれた」
「スケートを始めてから今年で21年目になるんですけれども、長い間頑張り続けてこれたからこそ、私のスケートに携わってくださった皆さんに本当に感謝しています。こんなにも長い間スケートを続けて、頑張ってこれたからこそ、いろんなうれしさに出会えましたし、応援してくださる皆さんにも出会えたと思います。そして逆にいろんな葛藤であったりとかそういったものに向き合って、乗り越えてこれたんじゃないかなと思います」
「私のこれまでの人生は、どんなときを振り返っても、全ての思い出にスケートがあります。これまで本当にたくさんの方に応援していただけて、長い競技生活の中でいいときもそうでないときもいろんなときがありましたけれども、どんなときも寄り添ってくださって、幸せな競技生活だったなと思います」
「もう全日本選手権に出たくない…」脚光の裏で
常に幸福だと感じられる時間を過ごしてきたわけではなかった。中学2年生で臨んだ2016年の世界ジュニア選手権に初めて出場し優勝すると、2017年の同選手権では銀メダルを獲得。次代を担う存在として脚光を浴びた。ひときわ大きな注目を集めるスケーターとなったことは、世界ジュニア選手権が地上波で初めてゴールデンタイムに中継されたことをはじめ、数々のエピソードに表れている。
2年連続で世界ジュニア選手権の表彰台に上がったあとの2017-2018シーズン、シニアになると注目は加速していった。平昌五輪が控えていたからだ。
「スケートをやってきた生活の中でもいちばん大変だったんじゃないかなと思う1年間でした。もう全日本選手権自体に出たくないと思ったりもしました」
そう振り返る2017年の全日本選手権は7位で終えている。