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久保建英が悶絶「腹にパンチ+プロレス技」の暴挙、だが観客席には「クボとソシエダに恋した」親子が…現地で見た“南スペインの情熱と闇”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/12/28 17:02
2023年、進境著しかった久保建英。しかし今年の最終戦でルベン・アルカラス(4番)の“暴力的なマーキング”に苦しめられた
前半、ソシエダはポゼッションでは相手を上回るものの効果的な攻撃を仕掛けることはできなかった。
降格圏に迫る16位のカディスは、ポゼッションは放棄しカウンターを志向する。守備面では粘り強くファールも厭わず戦うチームだ。相手のキーマンとなる久保へのマークは自ずと厳しくなった。
久保がかわしたはずのボランチが放った“ボディブロー”
それでもやはり限度はあるはず。前半終了間際、久保のステップに対応できず、かわされかけたボランチのルベン・アルカラスの——後ろから殴りかかるように振りかざした拳が、久保の腹部を直撃した。
一度は立ち上がりかけた久保だったが――耐えきれず倒れ込むくらいの衝撃で、試合後「肋骨にヒビがはいっているかもしれない」とコメントを残したほどだった。
ハーフタイムには、観客席から一斉に人形などがピッチに投げ込まれた。
クリスマス時期の試合ということもあり、クラブが集めて恵まれない子供たちへとプレゼントするという。
後半も引き続きピッチに姿を現した久保だったが、再開直前までピッチ脇で指揮官イマノルと話し合う姿が見られた。また後半頭より久保のパートナーとなる右サイドバックが、オドリオソラよりトラオレへと交代している。
攻撃を活性化したソシエダは、立て続けにチャンスを作った。
この中で、相手ゴール脇までボールを運んだ久保がスビメンディへ送ったパスがこの日最大の決定機だったか。ボックス内の混戦の中、大奥より走り込むスビメンディへ狙いすましたパスを送る久保。見事ダイレクトで合わせたスビメンディだったが、シュートはバーを直撃した。
リズムを取り戻しかけたソシエダだったが、69分、後半頭から投入されていたトラオレが負傷によってピッチを去ることになった。
さらには交代出場のアリツ・エルストンドまでもが相手と交錯。10分ほどの出場で交代を余儀なくされ、4名ものサイドバック選手を投入せざるを得ない状況に。結果、前節の試合で久保と相性の良さを感じさせたアンドレ・シルバを投入することができなくなった。
終了間際、またも相手マーカーの暴挙が
試合終盤の84分、久保が自陣からボールを持ち駆けあがろうとする際、右腕を掴まれて、ひっぱり回されるファールが起きた。