- #1
- #2
箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「監督がいなくなって…不安が大きい」箱根駅伝を前に監督が電撃解任、立教大が挑む異例の「学生自治」 選手は「もめることもプラスになる」
posted2023/12/28 06:06
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
JIJI PRESS
今年10月、「女子部員との不適切な行動」で立教大学の上野裕一郎監督が解任された。長距離部門の総監督が代理監督となったものの、コーチはボランティアで駅伝監督が実質不在の状態だ。学生がエントリー選手を選び、区間配置を決定する異例の「学生自治」で箱根駅伝へと向かうチームの現状を追った。(全2回の第2回/第1回から読む)
区間配置を選手が決める難しさ
立教大は、箱根駅伝のエントリーメンバー16名を決定した後、主力選手は合宿には行かず、新座市の寮にいながら調整をつづけていた。
選手たちが次に取り組むべきテーマは、区間配置だった。
自らの走力や考えがある中、チームのため、シード権を獲るために、その選手にはどこの区間が最適なのか。実績、レベルともに近い選手が同じ区間を望んだ時、何をもって判断するのか。さすがにくじ引きで決めるわけにはいかず、その区間を決めた際にはわだかまりを解消できるのか。違和感を抱えたまま本番を迎え、うまく走れなかった場合、「この区間に置かれたからだ」と、言い訳を作ることになりはしないのか……。
いくつもの難しいパズルが目の前のテーブルに置かれていた。
林虎太朗(3年)は「かなり難しいですね」と表情をしかめた。
「区間配置については、前監督がいなくなって、学生主体で誰をどこに置くのか、それをどう決めるのか……けっこう意見のぶつかり合いもあるので、正直、区間エントリ―の提出日までどうなるのか、不安が大きいです」
指揮官がいて、「チームのためにこの区間で頑張ってくれ」と言われれば、選手はいろんな感情を噛みしめながらも「やるしかない」と覚悟を決める。
だが、その指揮官がいないのだ。
もめた上で区間を任された選手は…
区間配置をめぐるミーティングは、厳しい言葉が飛び交い、白熱は必至だった。
一方で稲塚大祐(3年)は、「もめることもプラスになる」という。