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「監督がいなくなって…不安が大きい」箱根駅伝を前に監督が電撃解任、立教大が挑む異例の「学生自治」 選手は「もめることもプラスになる」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2023/12/28 06:06

「監督がいなくなって…不安が大きい」箱根駅伝を前に監督が電撃解任、立教大が挑む異例の「学生自治」 選手は「もめることもプラスになる」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

箱根駅伝を前に、選手選考も区間配置も選手が話し合いによって決める「学生自治」運営となっている立教大。その過程を追った

 沖縄合宿前のMARCH対抗戦で2組トップの29分17秒35の自己ベストをマークし、箱根出走に名乗りを上げた。

「MARCHの前(11月12日)に日体大の記録会5000mがあったんですが、そこで14分48秒12というタイムを出してしまったんです。MARCHで調子を上げていかないと本戦はもちろん、メンバー選考や区間配置でも勝てないと感じていたので、絶対に自己ベストを更新するぞという気持ちで臨みました」

 忠内は、入学時の5000mのタイムが14分49秒。推薦入学してきた選手のなかでは、一番下だった。箱根本戦にすぐに臨めるような選手ではなく、4年間で成長していければと思い、手を抜くことなく努力を続けてきた。2年の時には前監督から期待されるようになったが、「もうひとつなんだよなぁ」と言われ、主力になるにはあと一歩届かない日々がつづいた。

「上野前監督の言葉は、期待を込めたエールだといつも思っていました。日本のトップを走って来た方ですし、目線を選手ひとりひとりのところまで下げて、一緒に走って考えて指導してくださったのは、それをプレッシャーに感じた時もありましたが、自分にとってはすごく大きかったです。4年目に成長が出来て、前監督には本当に感謝しています。MARCHでゴールした時のガッツポーズは、前監督に『おい、見ているか』って言いたくて、ついやってしまいました(笑)」

「掃除班」としても記録を残したい

 忠内は、大学で現役を終える。MARCHでトラックの最後に自己ベストを出し、組トップでゴールしたことは「高2以来の貴重な経験でうれしかった」と笑顔を見せた。箱根に出走すれば大学では最初で最後の駅伝になる。希望区間は7区だ。

「専修大松戸高の先輩で、実業団で走っている杉山魁声(Kao)さんには走りや精神的なことで相談にのってもらい、自分の支えになりました。その先輩が筑波大の時に7区を走っていたので、自分も同じ区間を走り、『先輩の記録を抜いてやったぜ』と直接言いたくて(笑)。あと、『掃除班』(部内の掃除担当)としても結果を残したいと思っています」

 叩き上げで強くなった忠内は、前監督や先輩に走りで恩返しする覚悟だ。

今回、任された区間をしっかり走りたい

 忠内と同じ “掃除班”に属する稲塚も今季、非常に成長した選手だ。 

【次ページ】 監督がいなくなってからは、4年生の力が大きい

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