「すがってでも野球がやりたかった」

「40歳までは、やれなかったらどうしようという気持ちが強かったですし、すがってでも野球がやりたかった。でも今は無理だったら辞めようというくらいのメンタルでいられるので。でも、だからこそそう簡単には辞めたくないし、諦めたくないという思いもある。自分のパフォーマンスをどこまで上げられるのか、維持できるのか。今の球威で何歳まで投げ続けられるのか。すごく興味がありますね」

　年齢による衰えは誰にでも訪れる。しかし、和田はその常識を覆し、2022年シーズンには41歳にして自己最速の149kmをマークした。

福岡ソフトバンクホークスには2003年に入団。14―15年はシカゴ・カブスでプレー、16年からホークスに復帰　©︎KYODO

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　衰え知らずの投球には、常に上を目指す探求心や好奇心が大きく関係している。

「これまでのやり方がすべて正しいとは思っていません。だから、若い選手たちがやっているトレーニングにもすごく興味もありますし、実際にいろいろ教えてもらったり、取り入れたりしているんです。新しい球種の習得にも取り組んだり。こうした試みが、いつか40歳を超えてプレーする投手が出てきたときに何か役に立つんじゃないかと考えているんです。自分自身を実験台にして、色々チャレンジしたいと思っています」

　42歳のベテランを突き動かすその根底にあるものは何なのか。

「本当に野球が好きなので、野球に対して裏切りがないように一生懸命やりたい。ただその気持ちだけです」

今まで70万本以上のワクチンを寄付

　そんな和田が現役を続けるうえで、もうひとつ、モチベーションとなっていることがある。

　プロ野球選手としていかに社会に貢献できるか――。長年にわたる寄付活動を通じて、たくさんの人と交流し、多くの笑顔を見てきた。その“笑顔”との出会いは、野球を行う上での原動力にもなっている。

　プロ3年目の2005年から「認定NPO法人　世界の子どもにワクチンを 日本委員会」を通し、ミャンマー、ラオス、ブータンなど開発途上国の子どもたちに感染症のワクチンを支援する活動を継続的に実施。公式戦で1球10本、勝利投手なら1球20本など独自のルールを設けたワクチンの寄付は、これまで総計70万本以上に及び、アップデートさせてきた。

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