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「宇野昌磨のキャリアが凝縮されていた」記者の感慨…全日本選手権“6回目の優勝”偉業はなぜ? 語っていた自覚「目標とされる存在でありたい」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2023/12/25 17:32
全日本選手権で6度目の優勝を果たした宇野昌磨
宇野の自覚「目標とされる存在でありたい」
宇野は今大会で優勝回数が6度となり、本田武史と羽生結弦に並び歴代2位タイとなった。
優勝回数もさることながら、2011年、中学2年生で初めて全日本選手権の舞台に立ったのを皮切りに13年連続で出場を続けている。4度目の2014年に2位となって以来、優勝か2位のいずれかの成績で、10年間にわたり連続で表彰台に上がってきた。欠かすことなくリンクに上がり続けた足跡は、成長を志し、たゆまず歩んできた時間であり、そこに浮かび上がるのは不屈の精神と真摯な姿勢を持つ人の姿だ。今大会は、それをあらためて知らしめた場でもある。
「目標とされる存在でありたい」
近年はしばしば語る。努力を重ねた末にたどり着いた地位とそこから導かれる自覚である。
「ほんとうに長い年月、この全日本に出場しているなというのを痛感します。いろんな歴史があり、今の若い世代、そして僕の先輩方、いろんな全日本を見てきました。それでもやっぱりこの全日本という舞台は特別で、その中で6度の優勝をできて、このフィギュアスケートという移り変わりというか世代が交代するのが早い競技の中でこれだけ長く成績を残せていることはすごくうれしく思います」
「たくさんいろんな全日本を経験してきましたけれども、これだけ皆さんの素晴らしい演技が続いた全日本はなかったんじゃないかな、というくらい素晴らしい試合だったかなと思います」
笑顔で語った宇野は全日本選手権優勝により、来年3月の世界選手権代表に決まった。3連覇のかかる大会である。
今シーズン、表現力の向上を第一に進んできた。今も表現面にこだわることに変わりはないという。
そのベースの上に、シーズンが進む中で生じた心持ちもある。グランプリファイナルで優勝したイリア・マリニンと「戦える練習をしたいなと思います」。
何かを学びつつさらなる進化を志す姿勢は、これまでも、これからも変わらない。