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「山本由伸に最も愛された男」中日・高橋宏斗が明かす“押しかけ弟子入り”で見た無双右腕の素顔…外食前には“0次会”「どうしてこんなに良くしてくれるんでしょう」
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/12/26 11:06
WBC前の宮崎合宿では仲の良さをうかがわせるツーショットを見せていた高橋宏斗(左)と山本由伸
「(オリックスから中日に移籍していた後藤)駿太さんから、いろいろと由伸さんのことを聞いているうちに、じゃあ紹介するから自分で話してみろよってなったんです」
高卒2年目で大先輩に猛アタック
当時は高卒2年目。一軍デビューは果たしたが、すでに球界の大エースとして君臨していた山本に教えを請えるほどの知名度はなかった。しかし、後藤を通じて果敢にアタック。入門を許され、オフの間は大阪に泊まり込んで合同トレーニングを行った。
2月には侍ジャパンの合宿で再会し、東京、フロリダと同じユニホームを着て戦った。そして高橋は3年目のシーズンで初めての規定投球イニング到達という収穫を得て、山本は日本ラストシーズンをリーグ3連覇で飾った。そして迎えたCS、日本シリーズ第1戦を、高橋は現地(京セラドーム大阪)で生観戦している。中日は名古屋での秋季練習中。ナイターに間に合うように新幹線に飛び乗り、とんぼ返りしてまで見たかったのは、もちろん国内最後のピッチングを目に焼き付けておきたかったからだ。
「ただ、僕が球場に行った2試合は打たれちゃったんですよね。何か申し訳ない気持ちでした。それでというわけではなく、都合がつかなかったからなんですが(日本シリーズ初勝利した)第6戦は家で1球も逃さず見てました」
「朝起きてから夜眠るまで」
やはり同業者だが、同時に弟子であり、1人のファン、いや由伸マニアなのだ。応援している部分もあるが、投手としていかに投げ、抑えているかを集中して見ている。
「僕は由伸さんの一番すごいところは度胸だと思うんです」
フォーシーム、フォーク、カットボールにカーブ。全ての球種が超一流だということもあるだろうが、打者に打ち気がなさそうだったり、過度にいろんな球種に注意が分散していると見るや、少し甘いコースでもドンと投げ込み、打者の虚を突く。その勝負勘が「僕だとどうしても初球はボールから入ったりしてしまう」と話す高橋には、度胸に映る。
「一緒にトレーニングをやるからには、全てを吸収したいんです。それは野球だけじゃなく、私生活も含めた全て。朝起きてから夜眠るまで、あの人は野球につながっているので」