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「大谷翔平の存在がなくても…」山本由伸はなぜドジャースを選んだのか?「大谷の陰に隠れたくない? いや、違うな」記者が確信を抱いた瞬間
posted2023/12/26 11:04
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph by
Nanae Suzuki
投手史上最高額の12年3億2500万ドル(約460億円)でドジャースへ――“日本球界最高の投手”として規格外の契約合意が報じられた山本由伸は、なぜ数ある球団のなかから大谷翔平と同じ“西の名門”を選んだのか。2021年にオリックスの番記者を務め、現在はロサンゼルスを拠点にメジャーリーグの取材を続ける阿部太郎氏が内幕を分析した。
記者が「ドジャースだな」と確信した瞬間
山本由伸のドジャース移籍の一報が米メディアで取り上げられる数時間前、球界関係者の1人からこんな話を聞いた。
「ヤンキース側は山本獲得に自信を持っている。山本は大谷翔平とプレーするのは避けたい、彼の陰に隠れるのはいやだと思っているはずだ」
一方で同関係者は、既に諦めムードが漂っていたメッツについてはこう語った。
「メッツは、山本はドジャースに行くと言っている。ただ、オーナーのスティーブ・コーエン氏が全力で取りに行ったこともあり、最後まで白旗は上げられないようだ」
この話を聞いて確信した。ドジャースだな、と。
その後、「大谷狂騒曲」の時のようにヤンキース移籍のフェイクニュースも飛び出したが、ヤンキースの専門局「YES」のジャック・カリー記者がXで「山本が3億ドル以上でドジャースと契約する」と報じると、瞬く間に「YAMAMOTO」「DODGERS」の文字が米メディアで躍った。
複数の関係者が語っていた“山本由伸のこだわり”
当初から、山本はドジャーブルーのユニホームに袖を通すでのはないかと思っていた。
その理由の一つはドジャースに近い関係者から「山本がドジャースに憧れを抱いている」と聞いたこと。もう一つは、山本に近い複数の関係者が「西海岸がいい」と本人のこだわりについて話していたからだ。
代理人のジョエル・ウルフ氏も本人も、交渉前に「地理的な嗜好はない」と否定した。しかし、シビアな交渉が進む前から「どこがいい」と好みを話す代理人はいない。テーブルに上がる球団が少なければ、相手に有利に進められてしまう。