- #1
- #2
ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
巨人を1年で退団も「後悔はまったくない」元DeNA三上朋也34歳は、なぜ2軍新球団・新潟を選んだのか?「体が悲鳴をあげるまで投げ続けたい」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byShiro Miyake
posted2023/12/28 11:03
取材に応じた三上朋也。「天気晴朗なれども波高し」という日和の中、新しいスタートへの思いを明かしてくれた
「うれしかったですね。ジャイアンツは決して中継ぎが盤石というわけではなかったので、結果を出せばきっとチャンスはあると思っていました」
戻ってきたNPB一軍の舞台。三上はリードやビハインド、そしてワンポイントなどあらゆる場面で腕を振った。登板2戦目の5月6日の中日戦(バンテリンドーム)で失点し初黒星を喫するが、それ以降は負けはつかず、3連投や11試合連続で無失点を記録するなどチームに貢献した。
“ジャイアンツルール”
言わずと知れた、球界の盟主を自認する歴史と伝統のある巨人軍。自由闊達な風が吹くDeNAとの環境の違いに、驚くことばかりだった。
「比較対象がベイスターズしかないんですけど、ジャイアンツは歴史と人気のあるチームですし、ファンの人たちの多さはもちろん、メディアの数も多くて、そういう意味で全部刺激的でしたね。シューズの色や練習着の着こなしとか、独特の“ジャイアンツルール”があって、最初は知らないことばかりで困りました。あとは上下関係がしっかりしているというか、誤解を恐れずに言えば高校の部活の延長のような感じで、きっちりした縦社会なんです。だから僕が入ってきた時は、投手陣で一番年上(34歳)だったんで、若い子たちが『三上さん! 三上さん!』みたいな感じで、いやいや止めてよって」
そう言うと三上は笑った。確かにDeNAは、もちろん上下関係はあるが、若手選手が先輩にフランクな口を利くことも珍しくない。
「まあ、それはそれでいいんですよ。チームカラーですからね」
ただ、好奇心旺盛な三上からすれば、きっと巨人にいる状況を楽しんでいたのではないだろうか。
「そりゃ、そうですよ。プレーで力になりたいという思いを持ちながら、興味津々でジャイアンツというチームを見ていました。知れば知るほどベイスターズとは全然違うし、同じリーグにこんなに色の違うチームがあるんだって、すごく勉強になりました。ああ、あと友だちも増えましたよ」
三上が味わったファームでの緊張感
三上が一番感心をしたのが巨人のファームの運営とシステムだった。
「ジャイアンツのファームには二軍と三軍があって、三軍は高卒などの若手が主体で、いわば“ジャイアンツ大学”みたいな感じで育成をメインにしているんです。一方、二軍は完全な一軍の準備組織。ファームの試合であっても勝ちを優先して、ベストの選手をどんどん突っ込んで競争させるんです」