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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
巨人を1年で退団も「後悔はまったくない」元DeNA三上朋也34歳は、なぜ2軍新球団・新潟を選んだのか?「体が悲鳴をあげるまで投げ続けたい」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byShiro Miyake
posted2023/12/28 11:03
取材に応じた三上朋也。「天気晴朗なれども波高し」という日和の中、新しいスタートへの思いを明かしてくれた
一般的なファームチームは、育成のために若手選手に経験を積ませたり、不調や故障明けの選手が調整のために試合に出ていたりするが、巨人はあくまでも勝利を目指し、出場する選手に強度の高いプレーを要求する。
「だからジャイアンツのファームの試合は、緊張感が生まれるんですよ。それは僕にとっていい効果があって、ファームの試合で緊張感を味わっているから、一軍に呼ばれてもスムーズにゲームに入っていける感覚がありました」
DeNA相手に5失点
好投を続けていた三上だったが、招かれざる試練が訪れる。9月2日のDeNA戦(横浜スタジアム)の7回裏、3対7のビハインドで三上はマウンドに上がった。ひとり目の大和をショートゴロに打ち取ったまではよかったが、後続に打ち込まれ、四死球も絡んで5失点を喫してしまう。連打を浴び続ける三上は、マウンド上で大汗をかき、珍しく苦悶の表情を浮かべていた。
点数を重ねるにつれ、いつもは賑やかなDeNAのベンチも、三上の姿に感じたところがあったのか、喜びが控えめになっていくように見えた。非情とはいえ、これがプロの世界。三上にとって今季22試合目の登板は1アウトしか取れず、また前日まで1.76だった防御率は4.60に跳ね上がった。
皮肉にもこの古巣との対戦が、三上にとって巨人での最後の一軍登板になってしまった。心情的には、村上宗隆に打たれた前年の本塁打の時のような、察するものがあったのだろうか。
「あの時と似たような感覚はありましたね。しかも翌日インフルエンザと診断されて、もう一軍で投げるチャンスはないかもしれないなって……」
巨人での1年に「後悔はない」
シーズンがまもなく終わりを告げる9月下旬、三上はファーム施設にいた時に球団副代表に呼び出された。予感めいたものはあった。
「副代表から来季は契約をしないこと、そして何かしらの形で球団に残ってほしいと言われました。まだ心の整理がつかないから後日返事をすることになったんですけど、やっぱり現役を続けたい気持ちが強いので、球団には自分の思いを伝えました」
まだできる。誰かに言われて、野球を捨てることはできなかった。