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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
巨人を1年で退団も「後悔はまったくない」元DeNA三上朋也34歳は、なぜ2軍新球団・新潟を選んだのか?「体が悲鳴をあげるまで投げ続けたい」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byShiro Miyake
posted2023/12/28 11:03
取材に応じた三上朋也。「天気晴朗なれども波高し」という日和の中、新しいスタートへの思いを明かしてくれた
たった1年間で巨人での選手生活は終わってしまったが、そこに後悔はないのだろうか。
「まったくないですよ」
一点の曇りもない目で三上は言った。
「言葉は悪いですけど、1年間できれば丸儲けみたいな感じだったんで、どんな結果が出たとしても、自分としては良かったとしか思えないんですよ。ジャイアンツには、今後の人生を考えても得難い経験をたくさんさせてもらったので感謝しかないです。本当にポジティブな時間でした」
色んな野球を見てみたい
巨人退団後、決まっていたのは「体が悲鳴をあげるまで野球を続けること」だけ。その真っ直ぐな思いに家族からも「納得いくまでやりなさい」と後押しを受けた。「野球はプロだけじゃない」と本人が語るように海外も視野に入れ模索していた最中、連絡をくれたのが、来季からイースタン・リーグに参入するオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブだった。他にも候補があったというが、なぜアルビレックスに決めたのだろうか。
「まず僕の中で色んな野球を見てみたいって思いがありました。僕は、高校、大学、社会人、そして海外といろんなカテゴリーで野球をやってきましたが、独立リーグのチームだけ経験したことがないんですよ。そういう意味じゃ好奇心というか、知りたいなって。聞けば、新しい取り組みをするチャレンジングな組織ですし、一緒になって携われるのは面白いだろうし、魅力的だなって思ったんです。イースタンで戦うにあたって、いろいろ意見をして欲しいとも言われていますし、僕でよければ何でも協力しますって」
とにかく僕は真剣勝負ができる環境が欲しかった
訊くだけ野暮かとは思ったが、トップシーンで10年間戦ってきた三上は、NPBから見ればランクの下がる環境に身を置くことに抵抗はないのだろうか。
「それはないですね」
案の定、三上は笑顔で言った。
「確かに日本国内の最高峰はNPBの一軍だとは思いますよ。けど僕が真剣勝負をしてきたのは一軍のマウンドだけじゃありませんでした。二軍でも真剣勝負だったし、なにより自分が真剣であることが大事なんですよ。それはアルビレックスでも一緒。とにかく僕は真剣勝負ができる環境が欲しかったんです」
何度も“真剣勝負”と口にした。経験した人間にしかわからない、ヒリヒリとする勝負の世界に身を置くこと。それが野球人・三上にとってのリアルなのだ。
NPBには「是が非でも戻りたいとは思いません」
アルビレックスと時同じくして、ウエスタン・リーグに参入するハヤテ223(ふじさん)でもそうだが、多くの元NPB選手たちがファーム戦でアピールをすることでNPBへの復帰を目論んでいる。三上自身、NPBに戻りたいといった思いはあるのだろうか。しばらく黙考すると、ゆっくりと口を開いた。