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バレーボールPRESSBACK NUMBER
“かおる姫”驚きのビーチバレー転向から14年…菅山かおる(44歳)が明かすアスリート夫婦の関係性「最初はかなり警戒していました(笑)」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byL)Sankei Shinbun、R)Takuya Sugiyama
posted2023/12/23 11:08
バレーボール日本代表からビーチバレーへの転向でも話題を集めた菅山かおるさん
元日本代表はなぜビーチバレーにのめり込んだのか?
WINDSに入団した大きな理由の一つは、ビーチバレーボールに特化したトレーニングの知識や練習施設などの環境面が揃っていたことだった。インドア時代は初動負荷を意識したトレーニングが中心だったが、ビーチバレー選手となると、砂の上で動き回ることを想定しなければならない。不安定な場所で踏ん張るため、下半身の力がより必要になる。練習の方法もガラリと変わった。しかし、かおるさんは「戸惑うというより楽しかった」と、練習とトレーニングをエンジョイしながら上達していった。
「本当に原点に戻ったという感覚でした。もちろん、試合に負けると悔しいし、自分が思うようなプレーができなくて、歯がゆくてイライラすることもあるんですが、そういった過程もすべて楽しくて仕方がなかったですね。少しずつ確実にうまくなっていると感じる喜びの方が大きかった。それを味わう充実感がとても大きかったです」
インドア時代の集団生活とは違い、ビーチバレーボールの選手は自分でどの大会に出場するか考えてツアーを組み、渡航チケットを手に入れる。移動もペアで行動する場合が多く、マネージャーなどはついてこない。
「一度、海外遠征のとき、空港の乗り継ぎで一泊しなければいけないことがあり、乗り換えフロアの隅っこで寝たことがあります。治安が悪いと聞いて、バッグを絶対取られないように、しっかり抱きしめて眠りました。ビーチバレーボールの遠征ではいろいろな経験をしました。インドアだけでは絶対に経験できないことばかり。すべてが新鮮で、とても楽しかったです」
2011年、結婚を機に第一線から退いた
アクシデントもすべてがいい思い出だと語るかおるさん。では、そんな菅山さんが感じるビーチバレーボールの競技の魅力とはいったい何なのだろうか。
「インドアって監督がいて、監督の戦略や指示をもとに選手がプレーしますよね。でもビーチバレーボールは監督がいない(※監督を置くチームもあるが試合中に監督やコーチは介入できない)ので、試合中、苦しい展開になってもペアの選手と2人で考えて答えを見つけなければいけません。どんなに調子が悪くてもメンバーチェンジはできないので、なんとか自分で立て直して、戦い続けなければいけない。大変ですが、そうやって戦況を盛り返すことができたときの喜びは格別でした。2人でサインを出し合って、その戦術がハマるとすごく嬉しかったです」
こうして充実したビーチバレーボーラーとしての日々を過ごし、かおるさんは2011年、西村氏との結婚を機に第一線から退いた。ビーチバレーボール選手としてプレーしたのは2シーズンだけだったが、2010年には最後の国内大会で準優勝を飾るまでに至った。それは「できないことが悔しいので、できるまで何度でも練習する」というかおるさん従来の負けず嫌いな性格や、「かおる姫」という愛称で注目を浴び、はたから見れば一変したように見えた生活も「幸せだった」「ありがたかった」と楽しめる、競技へのポジティブな姿勢があったからこそだ。