シーズン途中から栄養士に加え、調理師と個人契約を結んで徹底管理したことでケガなくシーズンを戦うことができた。ただ、精神面はこれまでにない迷いや苦悩はあった。初めて主戦としてマスクを被って冷静さを保てなかった場面も経験。試合後、冷静に反省点を確認できる試合もあれば、できない日もあった。敗れた試合の切り替えができない夜も過ごした。

「苦しかっただけではないし、楽しいこともたくさんあったし、嬉しいこともあった。もちろん悔しいことも苦しいこともたくさんあった。そこも含めて、良かったなと思います」

チームの核となれるか

　102試合で先発マスクを被り、120試合に出場した。規定打席をクリアし、打率.266、12本塁打、44打点、OPS.757。シーズン終了後には侍ジャパンに選出され、初めて日の丸を背負った。初めて正捕手として過ごしたシーズンで残した数字は及第点も、本人の中では納得できるものではなかった。

アジアプロ野球チャンピオンシップで、坂倉は計4試合中3試合でスタメンマスクを被った　©JIJI PRESS

「（打撃）成績は21年からずっと下降している。今年はキャッチャーだったからと、みなさんに言ってもらうこともありますが、僕自身は納得していない。今年より下がることはない、今年の数字が最低。どんどん上げていきたい」

　来季は8年目。3年ぶりに「捕手専念」という枕詞がなくなり、確固たる地位をつかむシーズンと位置付けたい。球団も、西川龍馬がFAでオリックスへ移籍したことで攻守においてチームの核となることを期待している。グラウンドだけでなく、練習に取り組む姿勢やグラウンド外での立ち居振る舞いをみんなが見ている。投手やチームメートから信頼を得るには、成績だけではないものもある。

　他の誰でもない、坂倉は坂倉自身の色をつくり、自分らしい光をチームに当てていけばいい。