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全治3カ月の酒井宏樹が“1カ月復帰”クラブW杯、傷だらけでも燃える浦和レッズ…“世界で一番強い”マンC相手に「記念じゃない」「勝ちにいく」
posted2023/12/16 17:41
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Eurasia Sport Images/Getty Images
メキシコの難敵を退け、マン・オブ・ザ・マッチにも輝いた浦和レッズの小泉佳穂はこぼれる笑みを隠しきれないといった様子で、人気バスケットボール漫画の話を始めた。
「僕、『スラムダンク』が好きなんですけど、山王戦みたいだなって」
山王工業とは『スラムダンク』の世界における絶対王者。物語の最後を飾るにふさわしい強敵である。
その山王工業戦に喩えたものとは、いったい何か。
自身の憧れのチーム、マンチェスター・シティとの準決勝である。
「本当に世界で一番強いクラブだと思うんで、そこと試合ができることがすごく幸せだし、今日の試合をペップ(グアルディオラ)が絶対に見るわけじゃないですか。それがすごく不思議だなっていうか、嬉しいなっていう気持ちがあって――」
今季限りで退団、殊勲のシャルクが語ったこと
12月15日にサウジアラビアのジェッダで行われたクラブワールドカップ準々決勝。浦和レッズはクラブ・レオンを1-0で下し、準決勝進出を決めた。
拮抗した内容で、勝敗はどちらに転んでもおかしくなかったが、今季限りの退団が決まっているオランダ人アタッカー、アレックス・シャルクが途中出場から5分後に決勝ゴールを決めてみせる。殊勲者は試合後、興奮を抑えきれなかった。
「素晴らしいですね。本当に言葉が出ません。本当に夢のようです。試合中、ベンチでブライアン(リンセン)と『これは僕たちのゲームだ。僕たちがラスト20分でエネルギーとインパクトを与えられれば、勝てる』と話していました。自分がゲームに違いを与えられたことに満足しています」
クラブ・レオン戦は浦和にとって23年シーズンの公式戦58試合目に当たる。4月末にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2022決勝第1戦を戦うためにサウジアラビアのリヤドに遠征。8月からはレギュレーションが変わったACL2023/24を戦ってきた。ACLが夏開幕に移行したため、これまでACL出場チームは免除されていたルヴァンカップのグループステージにも3月から参戦。決勝まで勝ち進んだことで、試合数は膨れ上がった。
ACL敗退、長時間移動と寒暖差に苦しんだ
そのルヴァンカップ決勝で敗れて深いダメージを負うと、溜め込んでいた疲労が一気に噴出したかのように11月の公式戦で4連敗。11月29日のACL・武漢三鎮戦で連敗は止めたものの、過密日程はなおも続く。