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全治3カ月の酒井宏樹が“1カ月復帰”クラブW杯、傷だらけでも燃える浦和レッズ…“世界で一番強い”マンC相手に「記念じゃない」「勝ちにいく」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byEurasia Sport Images/Getty Images
posted2023/12/16 17:41
クラブW杯初戦を1-0で勝利した浦和レッズ。次なる戦いの相手はマンチェスター・シティだ
12月3日にアウェイで北海道コンサドーレ札幌と対戦。翌日にはベトナムに飛び、12月6日にACL・ハノイFC戦に臨んだが、疲労と移動と寒暖差に苦しみ、グループ最下位の相手に敗れ、どん底へと落とされた――。
そんなシーズンを経てクラブワールドカップにたどりついたのである。浦和在籍10年目の関根貴大が語る。
「しんどいですよ(苦笑)。正直、しんどいし、みんないろいろなものを抱えながらやっていますけど、ラスト1試合になるか3試合になるか、大きく違った試合だったので、すごく気持ちが入っていました」
試合前日、酒井を中心とした選手ミーティングが
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負ければ帰国、勝てば準決勝、決勝(3位決定戦)を戦える分岐点――。純粋に勝ち進みたいというアスリートとしての欲だけでなく、少しでも長く一緒に戦いたいという思いが、チームにはあった。
「本当にいい雰囲気でやれている。今日もアレックスが決めてみんなで喜んで、最高の形で勝利できた。今は最高のチームワークだと思います」と関根が続ければ、GK西川周作も思いを口にする。
「(ホセ)カンテは引退するし、(マチェイ・スコルジャ)監督も辞めてしまう。この時間は無駄にしたくないし、このチームで長くっていう思いがみんな強いので」
試合前日にはキャプテンの酒井宏樹が中心となって選手ミーティングを行った。
「やらないで負けて日本に帰るより、ダルいな、面倒臭いなって言われるほうがいいと思ってやらせてもらいました。大事なのはモチベーションを上げるとかではなく、チームとして戦うこと。それがこういう短い大会では本当に大きい」
酒井はそう言うが、面倒臭いと思った選手は誰ひとりとしていなかったはずだ。日本代表としてドイツやスペインを破った経験のある酒井の言葉は、説得力を持ってチームに浸透したに違いない。
全治3カ月だったはずが「必ず戻ってきます」と
その酒井自身、強い思いでサウジアラビアにやって来ていた。かねてから痛みを抱えていた右膝半月板の手術をしたのは11月6日のこと。全治約3カ月と診断されたが、手術からまだ1カ月ちょっとしか経っていない。
それにもかかわらず、すでに練習に参加しているばかりか、試合前日にはバックアップメンバーから登録メンバーへと変更になり、クラブ・レオン戦では明本考浩の負傷によって81分から緊急出場したのだ。