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「まさか…」目を疑ったエジプト戦のセッター変更…高橋健太郎、山本智大らが明かすバレーボール日本代表“誤算の敗北” いったい何が起きていたのか?
 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byAP/AFLO

posted2023/12/08 17:02

「まさか…」目を疑ったエジプト戦のセッター変更…高橋健太郎、山本智大らが明かすバレーボール日本代表“誤算の敗北” いったい何が起きていたのか?<Number Web> photograph by AP/AFLO

エジプト戦の敗北後、破竹の4連勝でパリ五輪切符を勝ち取った日本代表

「絶対にストレートで勝たなきゃいけない、変なバレーをしちゃいけない、と自分たちでプレッシャーをかけているのが伝わってきました。今までのように楽しんでプレーした先に勝利がある、ではなくて、勝たなきゃいけない。そのためにつまらないミスはするな、というピリついた空気が充満していました」

 前兆は初戦のフィンランド戦からあった。世界ランク28位の相手とはいえ、強豪揃いの欧州勢のランキングはあてにならない。伊藤が「かなりの対策をして臨んだ」という成果を発揮し、最初の2セットは25対17、25対15で日本があっさり連取した。

 五輪予選は短期決戦で連戦が続く。できるだけ多くの選手を使うべく、肩痛が生じていた山内晶大のコンディションを考慮し、第3セットから高橋がコートへ。膝痛と大会前に捻挫した右足首の状態は万全ではなかったが、訪れたチャンスに意気込みは十分。だが、結果は「最悪だった」と苦笑いを浮かべる。

「攻撃もブロックもダメ。僕が入って流れも悪くなって3、4セットを取られてしまったんです。試合に入る前は五輪予選も普通の大会、と思っていたんですけど、うまくいかなかった時やミスをした時のプレッシャーが比べ物にならなかった。何もできなかった僕に対して(監督のフィリップ・)ブランからの信頼はゼロになったと思ったし、もう出られないだろうな、と覚悟していました」

単調なバレーで、日本のリズムが崩されていた

 高橋は「自分のせい」と言うが、次戦にも通じた悪循環の理由。伊藤の解析は違った。

「サーブターゲットにしていた選手をこてんぱんにやっつけたので、選手が代わった。そしてその選手たちが活躍する。フィンランドとエジプトはまさに同じ展開でした」

 日本びいきで見ることなく、フラットな目で見たら、2セットを失った後に送り出されたエジプトの2人のアウトサイドヒッターは完璧な仕事をやってのけた。ポーンと放り投げるように高く上げるトスを、高い打点から打ち付ける。一見すれば単調な攻撃が、全く止められない。ブロックに当たっても、ボールを遥か遠くに飛ばされる。

 その状況に、日本の守護神、山本智大は苛立っていた。

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