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エジプト戦“誤算の敗北”から始まった…バレーボール男子日本代表に、何が起きていたのか?《山本智大、高橋健太郎らが明かす内幕》

2023/12/08
エジプト戦の敗北後、破竹の4連勝でパリ五輪切符を勝ち取った日本代表
圧倒的な展開で1、2セットを奪いながらも、痛恨の逆転負けで格下相手に痛い黒星を喫した日本。その後、絶対に負けられない、崖っぷちの戦いで連勝し、パリ五輪の切符を掴んだ。快挙はなぜ実現したのか――。

 あれ、ちょっと待てよ。

 日本代表コーチ、伊藤健士は目を疑った。

 2023年10月1日。男子バレー五輪予選、大会2日目。日本対エジプト。間もなく始まる試合に向け、コートで準備する選手たちも視野に入れながら、伊藤は副審用のタブレットに出るスターティングメンバーと、ローテーションをチェックしていた。

 すでに準備は念入りだ。万が一、予期せぬ事態が生じないか。いわば最終確認とも言うべき時、その“まさか”に気づいた。

 エジプトのセッターが、違う。

 レギュラーセッターは12番。だがタブレット上には3番とある。前日の開幕戦はもちろん、アフリカ選手権や、事前の日本との練習試合でもほぼ出てこなかった選手だ。事前の傾向を分析する中で、五輪予選日本ラウンドで対戦する7カ国中、エジプトは最もスターティングメンバーを変えてこない。特にセッターを代えることはほぼないチームだと明確に示されていたはずだった。

 もちろん全選手のデータを分析しているが、スタートでの出場を予測し、念入りな対策を練った正セッターはベンチにいて、出る気配がない。眼前でコートに立つのはセカンドセッター。事前のミーティングで選手に共有したシートに書いた特徴はわずか1行。

「『Aパスの時はAクイックが多い。パスがネットから離れるとクイックが少ない』。これだけでした。エジプトとは事前に練習試合をして、その時も20名近い選手がいたのでもちろんすべて分析、対策はしています。とはいえ正直に言えば、彼に関して試合でのデータはほぼない状況でした」

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photograph by AP/AFLO

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