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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「金属ならいいが木製で同じ打ち方は…」阪神・北條史也にベテラン記者が感じた“ある不安”…戦力外「坂本勇人二世」のこれから《三菱重工West入団》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2023/12/06 17:01
プロ4年目の2016年には122試合に出場し105安打をマークした北條史也。戦力外を受け来季からは社会人野球の強豪・三菱重工Westへ
春から夏にかけて、レギュラーとして出場していた選手たちが、徐々に控えに回ったり、代打、代走としての出場が増えてきたり……そのほとんどが、プロ入り5年から10年ほどの30歳前後の選手たちだ。
以前、関係者の方から聞いた話によると、夏場の時期になんとなく戦力外選手の概要がチームから現場に伝えられ、ファームはそれに沿った選手起用になり、秋のドラフト指名の人数やポジションの振り分けも、その内容がアウトラインになるという。
シーズン前半は外野のポジションについて上位を打っていた高山選手が、夏を過ぎるとDHでの出場が増えたり、二塁手、三塁手のレギュラーで出ていた北條選手が控えに回る試合が増えたり、他球団の場合もそうだが、この先の「何か」を予感させるような無言の「お達し」があるのも秋のプロ野球だ。
タイガース一筋11年の実績は「顔」になるのか
先日、北條選手が来季から社会人野球の強豪・三菱重工WESTで、現役選手としてプレーするという報道に接した。
阪神タイガースひと筋11年、一軍で455試合もプレーして、308安打も記録したが、その実績が「顔」になるほど、社会人第一線のレベルは甘くない。反面、30歳前後のベテランたちがものすごく元気に、チームの中枢となってプレーしているのも、今の社会人野球のリアルだ。
彼らが、「北條史也」の引き出しの中身に強い興味を抱くことも多々だろう。働き場はいくらでもあるはずだ。
高山俊、北條史也……共に、ドラフト上位で指名され、阪神タイガースの未来を担う人材として大いに期待されて入団した2人が、今季、ともに一軍に昇格することなく、プロ野球生活の幕を閉じた。
この先、人生50年。野球界の頂上でボールを追い、華やかな舞台を味わい、技術に悩み、故障に苦しんだ10年ほどの時間を糧にして、人間としての真価が問われるのは、まだまだこの先だ。