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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
《新潟BC入団決定》高い身体能力、絶妙なバットコントロール…それでも阪神・高山俊に足りなかったもの「ジャストミートまでは凄いが…」
posted2023/12/06 17:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Yuki Suenaga
38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガースの、高山俊と北條史也。ともにドラフト上位で指名され、虎の「顔」となることを期待された両選手も今季で縦縞のユニフォームを脱いだ。鳴り物入りで入団し、いまでもファンも多い彼らのプロ生活のリアルは、どんなものだったのだろうか?(前後編の前編・高山俊編/後編・北條史也編を読む)
プロ野球のシーズンオフは、まさに「明」と「暗」だ。
朝、スポーツ新聞を開く。メジャーに進む選手の途方もない年俸の数字、ドラフトされプロに進む選手たちの入団発表、そして、優勝チームの凱旋パレード……きらびやかな記事が大きな活字で報じられるその下のほうに目を転じれば、何年か前には同様にその動向を熱く伝えられた選手たちが、野球界から去っていく報せが、ひっそりと伝えられている。
盛者必衰――世の常とはいえ、毎年のこととはいえ、やはり、接するたびに胸に来る。
夏に阪神のファームで見た「ある選手」
この夏、近畿地方の甲子園予選を回っている最中だった。
阪神タイガースのファームの本拠地・鳴尾浜球場に出かける機会があった。
ウェスタン・リーグ公式戦、阪神の相手チームに、どうしても見たい(会いたい)選手がいた。
この日、阪神ファームのスターティングメンバーは、ほぼ「ベスト」と思われる顔ぶれ。ファームの試合にベストがあるのか、あっていいのか。そのへんは諸説あるところだろうが、リードオフマンを成長株のルーキー・井坪陽生(関東一高)がつとめ、3番・高山俊、4番・井上広大、5番・板山祐太郎がクリーンアップを組む打線なら、捕手が外野を守ったり、メンバー編成すらままならないような球団にとっては、うらやましいかぎりであろう。