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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「金属ならいいが木製で同じ打ち方は…」阪神・北條史也にベテラン記者が感じた“ある不安”…戦力外「坂本勇人二世」のこれから《三菱重工West入団》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2023/12/06 17:01
プロ4年目の2016年には122試合に出場し105安打をマークした北條史也。戦力外を受け来季からは社会人野球の強豪・三菱重工Westへ
金属のノックバットで外野ノックをする場合、芯より先で、リストを効かせて引っ掛けるように打つと、遠心力が効くのかものすごく飛んでいく。メカニズムとしては同様の打ち方になる。
金属バットの野球ならそれでもいいが、木製バットで同じ打ち方をしたら、どうなるか。折れたバットの山ができるのでは――と原稿に書いて、「そこまで言っては言い過ぎじゃないか」と、直されたことがあった。
そうなる前に修正してくれるだろうと願う思いと、そうなった時の心配が正直、半分半分だった。
「坂本勇人二世」という報道のされ方も
北條史也高校3年生の2012年は、八戸学院光星高の6年先輩の巨人・坂本勇人遊撃手が、絶対的ショートストップとしてバリバリ働いていた頃。この年マークした173安打、打率3割1分1厘は、ここまでの「坂本勇人MAX」となった。
そういうタイミングだし、高校の後輩の遊撃手だけに、「坂本勇人二世」という報道のされ方をすることもあった。
「それが、ちょっと背負わせ過ぎだった」
当時の北條選手を追いかけていたあるスカウトの方は、こんな率直な話し方をされた。
「バッティングもそうだけど、高校時代の坂本は、守備力で一枚も二枚も上だった。印象としては、北條の前の年の松本剛(帝京高、2011年日本ハム2位)のほうが坂本に似た感じだったし、バッティングも北條より素直な打ち方をしていた。でも、やっぱりフィールディングで坂本にはぜんぜんかなわない。そもそも、坂本二世なんて、そうそういないんだよ。あれから10年以上経ってるけど、トータルの能力で坂本を上回るショートなんて、出てきてないでしょ」
同じ阪神で、慶應義塾大の強打の左打ちの外野手ということで「高橋由伸二世」と称された伊藤隼太外野手も、長いこと、その冠を重く感じていたと聞く。
ウェスタン・リーグ、イースタン・リーグの試合結果を春からずっと追いかけていくと、夏場、オールスター戦明けぐらいからだろうか、出場しているメンバーに少しずつ異変があることに気がつく。