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テニスPRESSBACK NUMBER
「大坂なおみ財団」がハイチの貧困家庭を支援していた! 両親に聞いた活動の実態「はじまりは、日本のホームレスからだった」
posted2023/12/02 11:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
「大坂財団」はスポーツと教育を通してハイチを変える
世間であまり知られていないが、その実態を知る人にはこうも呼ばれている財団がある。
「なおみ財団」———。
正確には『Osaka Foundation=大坂財団』という名称で、そこまで聞けば誰もが察する通り、大坂なおみと深い関わりがある。 代表は父レオナルド・フランソワさんと母の大坂環さんが務める。レオナルドがハイチ出身のアメリカ人であることはよく知られるが、その財団の目的は「ハイチの貧しい家庭とその子供たちの生活を支援し、スポーツと教育を通してハイチを変える」というもの。資金はほぼ全てなおみの収入である。
大坂の収入といえば、米経済誌『フォーブス』が毎年発表する<長者番付>で2020年から3年連続で女性アスリートのトップに君臨したことがよく知られている。昨年の推定年収は5110万ドル(約70億円)と報じられた。オンコートでは低迷して賞金が減っても、その唯一無二のキャラクターと発信力・影響力の大きさでスポンサー収入は逆に増えたほどだった。しかし、その額ばかりが騒がれる中、環さんからは以前こんな話を聞いていた。
なおみが何十億稼いでいるとニュースになりますけど…
「なおみが何十億稼いでいるとニュースになりますけど、ハイチの学校にね、実はものすごくお金がかかるんです」
その学校というのは、レオナルドの故郷でもあるハイチ南部の町ジャクメルにあって、名称を『IOAセンター』という。『IOA』もまたレオナルドたちが設立したNGO団体だ。東京ドーム2つ分ほどの8万平方メートルの敷地内に、学校と幼稚園、寮もあり、そこで2歳以上の子供たち約200人が共同生活をしながら教育を受けている。スポーツ施設はテニスのハードコート6面のほか、100メートルトラックや25メートルのスイミングプールなどもある。
多くの雇用を生んでいることも重要な点で、教師や保育士のほか、テニスコーチ、給食や清掃などを担うスタッフの数は計35人ほどになるという。その施設の建設費用、運営費用はすべて大坂財団が賄っている。