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「大坂なおみ財団」がハイチの貧困家庭を支援していた! 両親に聞いた活動の実態「はじまりは、日本のホームレスからだった」 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byGetty Images

posted2023/12/02 11:00

「大坂なおみ財団」がハイチの貧困家庭を支援していた! 両親に聞いた活動の実態「はじまりは、日本のホームレスからだった」<Number Web> photograph by Getty Images

賞金やスポンサー収入がよく話題になる大坂なおみだが、じつは「財団」での支援に力を入れていた。「大坂財団」の代表を務める両親に話を聞いた

IOAとは?

 IOAは『International Outreach Association』の略で、アウトリーチは「奉仕」の意味だ。そこから、同じボランティア・グループの活動としてハイチへの支援も行うようになる。ハイチは「世界の最貧国」とも呼ばれる国。一般庶民には基礎教育も行き届かず、子供たちの栄養不良も深刻だという。レオナルドたちは、日本で捨てられる机や椅子、その他の物資をハイチに送り、募金活動も行って小さな幼稚園を設立した。こうして長年にわたって地道に行なってきたIOAの活動は、なおみのテニスコートでの成功によって劇的に変化し、幼稚園は今のアカデミーへと発展を遂げた。

歓迎した大統領が殺害される治安状況

 なおみは全米オープン優勝の数カ月後にも家族とハイチを訪れ、当時の大統領ジョブネル・モイーズ氏の歓迎も受けている。しかし、その大統領は2021年7月に自宅で武装集団に殺害された。ハイチの政情不安と治安悪化はとどまるところを知らず、殺人や誘拐、性暴力も横行しているという。首都ポルトープランスはほぼギャングの支配下にあり、国連が多国籍部隊を派遣するというニュースも最近目にした。外務省が発出する危険情報では、最大危険度を表す「レベル4」。当然ながら新型コロナウイルス感染症の対応も不十分で、多くの学校が閉鎖される状態が続いた。IOAセンターも完全な共同生活を維持できなくなったが、それでも多くの子供たちが各家庭からセンターへ通っている。

 ジャクメルは首都から100キロほど離れており、レオナルドは「首都は最悪だけど、ここはまだまし」と、定期的にアメリカからハイチへ渡る。

大坂が積極的にアピールしない慈善活動

©写真は大坂財団HPより ©Osaka Foundation

「ここを作った責任がある。ハイチの子供たちが食べ物や住むところの心配をせずに、勉強したりスポーツをしたりできる場所を作りたかったんだ。学んだことが将来何かのチャンスにつながるかもしれない。なおみは子供たちの憧れだし、すごく助けてくれているよ。警護などいろいろ大変だからしょっちゅうは来られないけど、オンラインで子供たちと話したりもするしね」

【次ページ】 積極的に話してこなかった理由

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