- #1
- #2
テニスPRESSBACK NUMBER
「大坂なおみ財団」の支援で、ハイチのテニス少年は日本に渡った…興国高校→上武大「最初の留学生」が明かす「ナオミはシャイだけど、すごくやさしい」
posted2023/12/02 11:01
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
フリッターソン・セントルイス提供
大坂なおみの父・レオナルドさんがルーツのあるハイチで立ち上げたIOA(International Outreach Association、国際奉仕協会)センター。そのIOAセンターで育った少年は大坂なおみが関わる大坂財団の支援によって日本の高校に進学した。その少年、フリッターソン・セントルイスは日本でどのような生活を送っているのか。そして取材を通して見えてきた財団の支援による変化とは――。(全2回の第2回/前編は#1へ)
大坂財団の支援で大阪にやってきたハイチ人留学生
1年前、大阪市にある興国高校へ、当時3年生だったフリッターソン・セントルイスという名のハイチ人学生に会いに行った。彼は大坂財団の支援で2021年に大阪へやって来た留学生だ。それまではIOAセンターで生活していた。その中で一番年上だった彼は財団がハイチの外へ送り出す最初の留学生であり、試験的な役割も背負っている。
皆からフリッツと呼ばれていた。NGO法人『ハイチの会』のスタッフとして活動するディオジェン智子さんは、フリッツと興国高校を結びつけた世話人であり、日本での身元保証人でもある。レオナルドとは、彼が大阪にいた頃からの旧知の間柄だ。
僕が日本の高校に行ける!?
「私が知る限り、フリッツ以外に日本の高校へ留学しているハイチ人はいません。ですが、留学生の第一号は、ぜひ日本へ、できれば縁の深い大阪へというフランソワさんの希望でした。教育もしっかりしていて、安全で、人も親切という印象を強く持っているのだと思います」
テニスの知識はなかったという智子さんだが、大阪府内のテニス強豪校で積極的に留学生を受け入れている興国高校の存在を知る。 興国は近年強化に本腰を入れ、2019年のインターハイで団体初出場も果たしていた。突然の打診から交渉はまとまり、日本行きを知らされたフリッツは飛び上がるほど喜んだという。