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テニスPRESSBACK NUMBER
伊達公子と杉山愛が振り返る“日本女子テニス界の黄金時代”「先に負けるわけにはいかない」「自分が負けるのは絶対に嫌」
posted2022/07/02 17:00
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph by
Takuya Sugiyama
二人が理事に就任・発足が発表された『Japan Women’s Tennis Top50 Club』の誕生秘話や90年代の日本女子テニス界全盛期を知る二人が共有する“テニス界への危機感”など、番組内に入りきらなかったエピソードや対談後に行った二人のインタビューを公開する(全2回の1回目/#2へ)
すべては、1通のメッセージから動き始めた
「突然なんだけど、話を聞いてほしいことがある。会える時間あるかな?」――。
すべては、この幾分切迫した1通のメッセージから、動き始めた。
受け取った人物は、杉山愛。2000年代にシングルスの世界ランキング8位、ダブルスでは1位に上り詰めた、日本女子テニス界の“顔”である。
そして送り手は、伊達公子。1994年に日本人女子選手として初めて世界ランクトップ10入りを果たし、以降もグランドスラムのベスト8、さらにベスト4と次々に世界への扉をこじ開けた、日本テニス界の先駆者にして第一人者だ。加えるなら、2008年に12年の空白の時を経て現役に復帰。わずか1年後には再び世界の舞台に舞い戻り、世界1位経験者のディナラ・サフィナや、マリア・シャラポワらをも破る衝撃的な活躍を見せた。
その伊達から半年ぶりに届いたメッセージに、杉山は「なんだろう?」といぶかしく思ったという。そして、電話で伊達はその思いを率直に伝えた。
「世界ランキング50位に入った日本人女子選手たちで、後進育成のための会を発足したい」
年齢で5歳先輩にあたる伊達のこの提案を聞いた時、杉山の中で「驚き」と「ついに!」という期待感が交じり合って、爆ぜた。
「オッケー、やりましょう!」
とっさに杉山が返した、快い賛同の言葉。その明るい声を聞き、伊達は安堵したという。
日本女子テニス界の二人のレジェンドの思いは、こうして交錯し、熱を帯びて「Japan Women’s Tennis Top50 Club」という組織を生み出す原動力となった。
伊達が思い出す“最も若い愛ちゃん像”「可愛いのに強いお嬢さん」
90年代から2000年代にかけての、あの頃――。それはまぎれもなく、日本女子テニスの、黄金時代だった。