「もちろんもちろん。それはそうなんですけど、自分がそこに対してどう戦うかっていうのを考え出すと、やっぱり、そこは作業として楽しいものではないです。対戦が決まったら決まったときで、そのときはもちろん考えますけど、っていう話です」

©︎Wataru Sato

――ここは一旦消した方が精神的にも。

「そうそう。精神衛生上（笑）。楽なんですよね。他の人と対戦するときと彼と対戦するときでは求められる準備の質も量も全然違うので。そういう意味では、楽な方に合わせちゃってはいるんですけど」

――タイトル戦を5度（2020、'21年棋聖戦、'22年王将戦、'23年棋王戦、名人戦）戦ってこられた実感として、そのたびに藤井聡太の将棋は変わってきていましたか？

「'20年は今から思うとまだ荒削りなところはあったと思います。あったんですけど、それでも十分に強かった。それが'21年、'22年、'23年と、経験を積むにつれて、少しはスキがあったはずの序盤も洗練されてきましたね。最初はまだ17歳で、それが18歳、19歳、20歳となるにつれて論理的な思考もよりできるようになっていくじゃないですか。高校生より大学生の方が、より論理的な考え方になるのと同じです」 

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