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「以前は土日研究NGの人がタイトル持ってた」渡辺明39歳が本音で語る“藤井聡太”と“AI研究”の苦しさ《独占インタビュー》

2023/11/22
藤井聡太に名人位を奪われ、19年ぶりに無冠となった渡辺明の胸中に迫った
モニターの前でひたすら脳を焦がす日々の果てに、20歳の初戴冠から常に頂上に在り続けた男は、40歳を前に「九段」となった。勝利のみを追ってきたリアリストが語る、自らと、盤上の行く末について。

――名人位を失った晩、Twitterで、19年ぶりに無冠になったことに対する心境と、ファンへの感謝を綴っていました。あれは相当に考えて書かれたのでしょうね。

「どうだったんですかね。何時ぐらいに書いたのか、ちょっと覚えていません。主催新聞社の取材を断ってしまったので、なんかコメントぐらい出さなきゃまずいかなと思ったんです。まあ、自分で書けば一番間違いがないですから」

――そのあとはどう過ごしたとか、覚えています?

「あの夜は、ホテルの自室で他の棋士と飲んだんです。結局、朝方ぐらいまで」

――飲みながら、あの冷静な文章を書かれたんですか?

「いや、飲んだのはアップしてからです。飲みながらでは理性がきかなくなる(笑)。あの日は立会人が戸辺(誠七段)とか高見(泰地七段)くんとか、そんなメンツだったんで。ほかに黒沢(怜生六段)くんもいたような。そういう流れになったのは、(家族ぐるみで付き合いが深い)戸辺がいたのが大きかったんじゃないかな。あの状況で僕に飲もうって言ってくる人は戸辺くらいでしょうからね(笑)。もしかしたら、僕の方から“部屋で飲むぞ”と言ったかもしれません。どちらにせよ、結構自然な流れですね。対局の夜って勝っても負けてもすぐには眠れないので、だったら飲む人がいるんだったら飲んだ方がいいかなって。飲んだ方がいいっていうか、飲もうかな、みたいな。将棋の話はしなかったですね。まさに雑談です」

「僕の視界から藤井聡太さんは一旦消えました」。

――藤井聡太の強さをどう分析されていますか? 何度も聞かれている質問と想像できるだけに恐縮ですが、すでに割り切られているのでしょうか。

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photograph by Wataru Sato

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