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[新世代の挑戦者たち]下剋上を狙う七人の若侍 伊藤匠/上野裕寿/藤本渚/古賀悠聖/服部慎一郎/渡辺和史/山下数毅

posted2023/11/24 09:01

 
[新世代の挑戦者たち]下剋上を狙う七人の若侍 伊藤匠/上野裕寿/藤本渚/古賀悠聖/服部慎一郎/渡辺和史/山下数毅<Number Web> photograph by Yomiuri Shimbun / SANKEI SHIMBUN

左から伊藤匠、藤本渚

text by

小島渉

小島渉Wataru Kojima

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photograph by

Yomiuri Shimbun / SANKEI SHIMBUN

盛者必衰はこの世の理。棋界統一を果たした絶対王者の牙城を崩せるのはいったい誰か。「藤井時代」が続く中で下剋上が期待される、成長著しい若手のスター候補たちを紹介する。

 11月11日、藤井聡太は竜王戦七番勝負で伊藤匠七段の挑戦をストレートで退けた。10月の八冠達成はもちろんのこと、これまでに登場した19回すべてのタイトル戦を制したのは信じられない記録である。伊藤より前に大舞台で戦った相手は年上ばかりで、最も年が近かったのが7歳上の佐々木大地七段。伊藤とは同学年で、今回が初となる21世紀生まれ同士のタイトル戦だった。藤井が同世代に完勝した事実は、改めて全世代に敵なしであることを証明した。

 敗れたとはいえ、デビューから3年の伊藤がタイトル戦に登場したのは、トップ棋士に入った証として誇れるものだ。竜王戦挑戦者決定三番勝負では当時の永瀬拓矢王座を2連勝でくだし、挑戦権を獲得したのも鮮烈だった。20歳11カ月でのタイトル挑戦は、歴代9位の年少記録で谷川浩司十七世名人よりも早い。今回の竜王戦でシリーズ開幕時における対局者の合計年齢は史上最年少記録となる41歳で、新世代の台頭を象徴するシリーズとなった。

 伊藤は新人王戦優勝、C級1組に昇級など順調に歩んできた経歴から、もともと棋士の間でも評判は高かった。昨年に王位戦で紅組のリーグ優勝をかけて豊島将之九段と戦ったときも、あるトップ棋士は「よく豊島さんも勝ったよなぁ」と感心していた。勉強熱心で勢いに乗る年下を退けるのは、容易ではないからだ。伊藤がすでに新世代の強豪として警戒されているのは間違いない。

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