プロ野球PRESSBACK NUMBER
18歳の鮮烈デビューから一転…ロッテ・松川虎生「プロ2年目は二軍修行」の“本当の狙い”と収穫「久々に見た朗希さんは…」「この悔しさを絶対に」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/11/21 11:01
実戦経験を積み重ね、一段階成長した姿を見せた松川
汗だくになりながら大男が沢山の荷物を抱え、航空会社のカウンターで困惑しながらもなんとかチェックインを終えると空路、北の大地に向かった。タクシーで球場入りした時には試合は始まっていた。ゲームが序盤に8点のビハインドを追いかける展開ということもあり、ロッカーですぐにユニホームに着替えるといつでも試合に出られる準備を整えた。
復活した朗希との“黄金タッグ”
久々の一軍の試合に気持ちは昂っていた。出番は9回2死走者なしの場面。マウンドにはファイターズの抑えの切り札である右腕の、田中正義。代打を告げられると、初球からフルスイング。ファウルとなったが、好調さがうかがえるスイングを見せた。そして1ボール2ストライクから粘りながらレフトへヒットを記録した。
「あそこで1本出たのは本当によかった。二軍でやってきたことが結果に繋がりました。しかも抑えの投手から打てた。そのあと、池田(来翔)さんも続いてホームベースを踏むことが出来た。嬉しかった」(松川)
そして迎えたクライマックスシリーズファーストステージ。ZOZOマリンスタジアムで行われた初戦のバッテリーは佐々木朗と松川に決まった。久々に2人はコンビを組んだ。試合前、ブルペンのマウンドに立つ佐々木朗の姿が、松川には大きく映った。
「久々に見て、朗希さん下半身が大きくなったなあと思いました。太ももとかすごく大きくなっているように見えた。それは久しぶりだからこそ分かる感覚なのかもしれないです。ボールとしてはフォークとスライダーの曲がりが大きかったし、調子もよかった」
「朗希さん、アドレナリンが…」
一方の佐々木朗は松川について「強くなったと感じた」と、短い言葉で表現をした。キャッチャーとして構えている時の雰囲気。キャッチャーミットにボールを吸い込む感覚。そして二軍で作り上げた身体がマウンドから見ていて「強くなっている」と見えた。
「もしかしたら、1年目の開幕戦スタメン以上に緊張していたかもしれない。でも朗希さん、アドレナリンが出まくっているようなピッチングをしたので、それに乗せられた」と松川は言う。久々の黄金バッテリーは3回を無安打、無失点。序盤から試合を支配した。
その後、5投手を継投。松川は計6人の投手を巧みにリードし、チームを勝利に導いた。満員に膨れ上がったポストゲームの異様な雰囲気に誰もが浮き足立っていたが、それぞれの投手の特徴を生かしアウトを重ねていった。二軍で培った経験が生きた。