酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「台湾・韓国チアリーダー大盛り上がり、日本の即席応援団もオーストラリアを…」“井端ジャパンだけじゃない”劇的アジアCSを現地で見た
posted2023/11/21 11:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Gene Wang/Getty Images
「『アジチャン』はもういいんじゃない? WBCと違ってU24でフル代表じゃないし、参加するのも4チームだし」
そういう声をしばしば聞いた。しかし「ドラマチックさ」という点で、WBCに勝るとも劣らなかった。終わってから言うのだが――4日間観戦してよかった。
筆者がそれ以上に感慨深かったのは、わずか4日の大会で日本だけでなく、韓国、台湾、オーストラリアもチームとしてのまとまりができて、素晴らしい試合をするようになったことだ。
赤星、隅田、早川と第2先発・根本の充実ぶり
侍ジャパンとして初陣の井端弘和監督は、実に心憎い人選をした。
予選3試合の先発は第1戦の台湾戦が巨人・赤星優志、第2戦の韓国戦が西武・隅田知一郎、第3戦、オーストラリア戦が楽天・早川隆久だった。
この世代でもっと成績を上げている投手はいないではない。しかしこの3投手は、入団時から進化して、ブレーク直前の段階にいる。2年目の赤星は、デビュー年は制球に難がありK/BBは昨年1.63だったが、今年は4.92と大幅に改善した。同じく2年目左腕・隅田も安定感がぐっとまして投球イニングが81.2回から131回に伸びている。3年目左腕・早川は、今年は故障で離脱期間があったものの防御率が3.86から3.44と上昇している。
果たして3人の先発投手は、目の覚めるような成績を残した。
第1戦 赤星 4.2回72球3被安打0与四球 自責点0
第2戦 隅田○ 7回77球3被安打1与死球 自責点0
第3戦 早川○ 5回63球0被安打0与四球 自責点0
早川は5回パーフェクトだった。隅田ともども、ここまで精度の高い投球をするサウスポーはアジアの他の国では、いないのではないか。また第2先発的な役割を果たした日本ハムの左腕・根本悠楓も目を見張るような投球だった。
光った森下と万波の打撃、小園・門脇の二遊間
打者では阪神の森下翔太が、日本シリーズの興奮をそのまま持ち込んだように、第1戦で初得点となるソロ本塁打、第2戦でも2安打と「侍ジャパンの3番」として縦横の働きを見せた。対照的にチームメイトの佐藤輝明は、第2戦の韓国戦、立ち上がりの1死満塁の好機に3球三振するなど粗さが見えた。ただ三塁守備ではその韓国戦の7回1死一塁、強烈なライナーを好捕するや一塁に剛球を投げて一瞬で併殺にするなど、サトテルならではの「ごつい守備」を見せつけた。