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アルゼンチンを5-2撃破、U-22日本代表に潜む「パリ五輪最終予選で海外組を招集できる保証がない」問題…ポジション争いと序列の現状は?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTsutomu Kishimoto/PICSPORT
posted2023/11/20 11:30
アルゼンチンを相手に5-2の勝利を挙げたパリ五輪世代。各ポジションの定位置争いもし烈さを増す
例えば、アルゼンチン戦との第1戦のピッチに立った顔ぶれも、現状のベストメンバーとは言い切れない。GK鈴木彩艶(シント・トロイデン)とFW細谷真大(柏レイソル)がA代表に昇格したのはさておき、このチームのキャプテンである山本理仁(シント・トロイデン)がスタメンから外れるのは珍しいケースだった。
代わってキャプテンを務めたアンカーの藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)が絶対的なレギュラーかというと、そうとも言い切れない。藤田が所属クラブでサブに甘んじているのに対し、川﨑颯太は京都サンガF.C.で不動の存在。バイエルンに所属する福井太智も9月にトップチームデビューを果たしているからだ。
五輪最終予選で海外組を招集できる保証がない?
アルゼンチンとの第1戦では、海外組から藤田、鈴木唯人(ブレンビー)、佐藤恵允(ブレーメン)、小田裕太郎(ハーツ)の4人が先発し、福田師王(ボルシアMG)、福井、山本がベンチスタートに回ったが、大岩監督は海外組の起用バランスについては考えを巡らせているという。アジア最終予選はインターナショナルマッチデイではないため、彼らを招集できる保証はどこにもない。
「今、所属クラブにお願いしている最中だが、来てくれる、来てくれないといったことも想定しながら、グループ(第1戦、第2戦のスタメン)を決めている。でも、そればかりを考えて、目の前の試合に向けた真剣さやリアリティを落とすわけにもいかない」
海外組の一部の選手が招集できない可能性も視野に入れながら、特定の選手に頼らないチーム作りやメンバー構成を考えているというわけだ。
GK:鈴木彩が招集見送りの場合、正守護神は誰に?
その上で、大岩ジャパンのポジション争いを見ていこう。
GKは一番手と目される鈴木彩が10月の活動からA代表に昇格しており、来年1月のアジアカップにも参加することになりそうだ。1~2月に1カ月以上、4月にも1カ月近くクラブを離れるのは難しいから、パリ五輪アジア最終予選での招集は見送ることになるだろう。
アルゼンチン戦で先発した藤田和輝(栃木SC)は9月のアジア大会での活躍が認められ、大岩ジャパンの“正規メンバー”に昇格した選手。10月のメキシコ戦では野澤大志ブランドン(FC東京)を、アメリカ戦では佐々木雅士(柏レイソル)を起用したから、今回は藤田を試してみた、ということだろう。