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久保建英22歳「このような勝利に慣れないと」なぜ“ソシエダ20季ぶりCL決勝T”偉業にもクールだったか…“動画に収まらない”タケの真骨頂
posted2023/11/12 17:05
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
11月8日、チャンピオンズリーグ対SLベンフィカ戦を3-1で勝利したレアル・ソシエダの面々は、ゴール裏を埋めたサポーターと共に、勝利の喜びを噛み締めていた。
CLグループステージは折り返しを迎えた第4節。
キックオフが18時45分だったため、21時開始の同グループ、ザルツブルク対インテルの結果を待たなければいけなかったが、2試合を残してのグループステージ突破、少なくとも限りなくそれに近づいたことを皆が確信していた。
そして実際2時間後にはインテルの勝利によって、それは確定した。
「目標」だったCLで結果を残した久保の、クールな表情
レアル・ソシエダにとって10シーズンぶりのCL参戦だったが、グループステージ突破となると20シーズン遡らなければならない、快挙と呼ぶに相応しいものだった。
かねてより「CLでプレーすることが1つの目標」と公言していた久保建英だが、ソシエダに加入した昨シーズン、チーム一丸となって――まさにシーズン終盤までの死闘の末――今季のCL出場権を獲得した。
そしてソシエダ2シーズン目の今季、チーム内でも出色、しかも継続的な活躍を披露。CL初年度での決勝トーナメント進出の原動力となった。にもかかわらず、勝利を喜ぶ輪の中に心から歓びきれない、どこか冷めた様子の久保の姿をカメラ越しに捉えていた――。
シルバ引退後に潜めていた“久保の真骨頂”
パラパラと、しかし大粒の雨が落ち始めた。キックオフ直前、給水を取る久保に至近距離で迫った1枚には、バックスタンドからのライトが照らす輝く雨粒と共に鋭く前を射抜く久保の視線が映り込む。
開始早々に得たCKのキッカーには久保が名乗り出た。バレネチェアを呼び寄せショートコーナーの可能性を匂わせたまま、鋭いボールを直接ゴール前へ蹴り込んだ。
相手のクリアによって立て続けに得た2本目のCKでは、相手の陣形が整う前にすかさずショートコーナーを選択。自信を持って縦に仕掛けるバレネチェアには、マーカーに加え、慌てて対応に飛び出した2枚が対応する。
DFを引き付けたところで久保にパスを届けると、守備陣はそのままスライドした2人に加えて、さらに1人加わり3人が久保の対応に当たった。
慌てることなく3人を引き寄せたところで久保は、再度ゴール前ではなくフリーになったバレネチェアの元へパスを通した。